沖縄都市モノレール 財務改善へ債務株式化検討 3両化向け


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
那覇市壷川を走るゆいレール

沖縄都市モノレール社(ゆいレール)が3両化に向けた資金を確保するために、約27億円の債務超過をDES(貸付金の株式化)によって解消し、財務改善につなげることを検討している。債務超過の解消には最低でも28億円が必要とされる。将来的な財務安定化のため、DESによる調達額の拡大や出資を受ける可能性もある。財務改善で金融機関などから資金調達がしやすくなり、3両化に向けた環境が整う。

 沖縄を訪れる観光客の増加に伴ってゆいレールの乗客数も伸びており、モノレール社は4期連続の黒字を維持する。一方で3月末時点で27億1701万円の債務超過があり、3両化の整備費用を確保するために新規の借り入れが難しい状況にある。

 DESで債務超過を解消し、資金繰りなど将来的な計画を明確にすることで、県や那覇と浦添の両市、沖縄振興開発金融公庫などから新規借り入れを行える状況になる。

 関係者によると、那覇市と県で約160億円をモノレール社に貸し付けており、元本の支払いが一定期間生じない無利子貸し付け分を株式化する方向で調整している。浦添市が出資などを行う可能性もあるという。DESなどに伴う県や那覇市、浦添市などの負担割合は今後、調整を進めるという。

 ゆいレールは輸送力増強のために2022年度の3両化導入を目指しており、200~290億円程度の費用がかかると試算している。3両化を進める際、国や県などの補助対象ではない部分はモノレール社で資金を調達する必要があることから、DESによる財務改善が求められていた。