「安全な場所であるべき学校で…」 沖縄の中学校に正体不明の落下物 学校に不安と衝撃


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落下物を公表する浦西中学校の稲福政彦教頭=4日、浦添市当山の同校

 いったい、どこから落ちてきたのか。浦添市当山の浦西中学校の校庭で4日午後、正体不明の落下物が見つかり、学校関係者に衝撃と不安が広がった。2017年12月には宜野湾市の緑ヶ丘保育園と普天間第二小学校で米軍機の部品落下事故があった。学校上空は日常的に米軍ヘリが飛行しており、同校の稲福政彦教頭(49)は「安全な場所であるべき学校でこんなことが起きるとは」と言葉を失った。

 落下物の一報を受けた4日夜、浦西中に多くの報道陣が集まった。沖縄防衛局の職員も来校し、1時間以上にわたって事情を聴取。学校側は午後8時20分ごろから会見を開き、稲福教頭が落下物発見時の状況などを説明した。駆け付けた松本哲治市長とも面談した。

 稲福教頭によると、落下物が発見されたのは同日午後3時35分。テニス部の男子部員が見つけたという。

 「ドスンではなく、ひらひらと落ちてきた。素材が何かは分からない」。当時、校内に200~300人の生徒がおり、全員を校舎内に避難させた。「とにかく子どもの安全第一を考えて対応した」と語る稲福教頭。関連は明らかになっていないが、落下物が発見された時間帯に校庭上空を飛ぶヘリを見た生徒もいたという。

 浦西中は米軍普天間飛行場の南約2キロに位置し、学校上空は米軍ヘリが日常的に飛んでいる。会見の直後、付近を飛行する米軍輸送機MV22オスプレイの重低音が校舎の窓を揺らした。

 稲福教頭は「どの所属のヘリから落ちたのかは分からない。ヘリから落ちたのかも分からない」と話し、汚染されている可能性もあるとみて沖縄防衛局に落下物を引き渡したと明かした。

「いったい、どこから」「米軍機から?」 物体の特定求める保護者、住民
 

 生徒たちが部活に汗を流す中学校のグラウンドに、突如落下してきた薄いゴムシート状の物体。これが何かは分かっていないが、同時刻、上空をヘリコプターが飛んでいるのが目撃されている。周辺は日ごろから米軍機の飛行ルートになっており、保護者や地元住民は「米軍機から落ちたのではないか」といぶかる。

 「とうとう落ちたか」。3年生の子どもが浦西中学校に通うという40代の会社員女性はニュースで知り、そう直感したという。近くには小学校や保育園、特別支援学校もある。けが人がいなかったことに胸をなで下ろしたが「飛行ルートになっている限り、どこで何が落下するか分からない。次はけが人が出るかもしれない」と不安げだった。

 近くの浦西自治会の宜野座富夫会長(64)も米軍機からの落下物だと思っている。その上で、2017年に宜野湾市の緑ケ丘保育園と普天間第二小学校に米軍ヘリの部品が落下した事故を引き合いに「普天間だけの問題ではなく、浦添市民も我慢を強いられている。早く物体の特定と原因を究明してほしい」と訴えた。