「逃げ場ない」「詐欺師のやり方だ」 陸自ミサイル「火災時の避難困難」 宮古・八重山の住民から不安と怒りの声


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弾薬庫が設置されている陸上自衛隊宮古島駐屯地=4月9日、宮古島市上野野原(小型無人機で撮影)

 【宮古島・石垣】沖縄県宮古島市と石垣市に配備される陸上自衛隊ミサイル部隊の地対艦誘導弾が火災に巻き込まれた際、住民避難が困難な状況に陥ることが陸自教科書(教範)で判明した件で、配備予定地の周辺住民からは不安の声が上がった。

 陸自教科書は地対艦誘導弾が火災に遭った場合、爆発するまでの時間は約2分とし、その際は1キロ以上離れるか、物陰に隠れるなどの対応を示している。

 宮古島市城辺保良地区への弾薬庫建設に抗議を続ける「ミサイル・弾薬庫配備反対!住民の会」の下地博盛共同代表は、弾薬庫建設予定場所から最も近い民家が直線距離で約200メートル以内にあり、1キロ以内だと保良集落の半分が範囲内に入ることを指摘。「何かあった時に逃げ場がないというのが最も心配だ」と語る。

 石垣市平得大俣への陸自配備予定地近隣にある大本小学校に子ども2人が通う同小PTA前会長の梅田要さん(38)=於茂登地区=は「小学校はほぼ1キロの場所だ。もしもの時、逃げられる場所がなく不安だ。集落と配備される場所が近すぎる」と心配した。集落全体が弾薬庫から1キロ圏内にある開南公民館長の小林丙次さん(57)は「万が一の時の話もせずに着工した。本当に住民理解を得ようとする気はあるのか。詐欺師のやり方ではないか」と防衛省を強く批判した。

 本紙の取材に対し、宮古島市の下地敏彦市長は「有事に耐えられる施設を法令にのっとって建設するのが当然で、地域住民に影響があってはならない。万全な対策をするように防衛省に伝えたい」と述べた。石垣市の中山義隆市長は「陸自の教範の中身を確認していないので、現時点ではコメントできない」とした。