米海兵隊は5日、米軍普天間飛行場所属のヘリの部品が沖縄県浦添市立浦西中学校に落下したことを認めた。部品の大きさや重さから「人身や財産に脅威を与えない」と安全性を強調するが、航空機からの落下物は人身被害をもたらす重大事案につながりかねない。2017年12月にも同飛行場に隣接する普天間第二小学校に窓枠を落下させている。今回の部品落下は米軍普天間飛行場の危険性を再認識させるとともに、県や周辺自治体は安全性への懸念を強めている。
4日午後に米軍機からゴム製部品が落下した浦添市当山の浦西中学校は宜野湾市の米軍普天間飛行場の場周経路に位置する。米軍機が同飛行場南側から離着陸する際は飛行ルートの真下に当たることもある。今回の部品落下事故は普天間飛行場を抱える宜野湾市だけでなく、場周経路に位置する隣接市町村の危険性が如実に現れた形だ。
沖縄防衛局が2018年12月まで公表していた米軍機の航跡調査結果では、浦添市や中城、北中城両村も飛行ルートとなっている。日米両政府は04年の米軍ヘリ沖国大墜落後、同飛行場周辺の飛行経路を見直し「可能な限り民間地上空を避ける」と定めた。場周経路は飛行場周囲上空に設定されているが、実際はこの経路を大きく外れた飛行も確認されているのが実情だ。
米海兵隊は落下させた部品が軽量であることなどを理由に「人身や財産に脅威を与えない」と安全性を強調しているが、17年12月には普天間第二小への窓枠落下、市野嵩の緑ヶ丘保育園で部品が見つかる事案などが相次いでおり、飛行場周辺住民の安全性への懸念は根強い。
沖縄防衛局は18年12月まで普天間飛行場周辺の米軍機航跡調査結果をウェブサイト上で公開していた。だが、米側から「国際社会における米軍に対する脅威を踏まえ、航空機の運用に係る情報保全にはより厳しい考慮が必要だ」と公開の中止を求められ、現在はウェブサイト上での公表を中止している。