沖縄大学法経学部の豊川明佳准教授のゼミ生らが、多くの観光客が訪れる那覇市の国際通りで食物アレルギーに対応する飲食店の地図を完成させた。「アレルギーフレンドリープロジェクト」と銘打って現3、4年生約30人が2018年度から調査を続けて、どの店がどのような対応をしているかを調べた。「アレルギーがある人も外食を楽しんでほしい」と印刷の仕上がりを待って配布する。
豊川ゼミでは「今はないものを創り出し、社会に役立てよう」とテーマを探した。アレルギー対応沖縄サポートデスクの田村磨理さんから「食物アレルギーがある人は外食先を探すのが難しい」と聞き、飲食店の調査を思い立った。
調査では「学生の人海戦術で」(豊川准教授)で一軒一軒を訪ね歩き、どのような対応が可能かを確認した。重いアレルギー症状を起こしやすい小麦、卵、乳、エビ、カニ、そば、落花生の7品目に関して「予約時に伝えれば除去食を準備できる」「当日でも除去食を準備できる」「自分で準備した弁当を持ち込める」など5項目について調べた。
少なくとも1項目を満たし、食物アレルギーがある人が利用しやすい店舗は96店中56店で、7品目を除去した料理をメニューに明示している店もあった。
中には、目立つ表示をしていなくても丁寧に対応する店もあったという。地図作りを担当した宮里真央さん(21)は「当事者は不安が大きく、店に問い合わせない。店側は問い合わせがないので需要がないと認識している。両者の溝の深さを感じた」と話す。
プロジェクトでは地図作りのほか、アレルギー対応食品の販売も体験した。「『売ってくれてありがとう』と予想以上に感謝されて驚いた。アレルギーがある人の生きづらさを感じた」と宜保裕優さん(22)、當間かなえさん(21)。
活動の様子や、アレルギー対応をする飲食店へのインタビューは動画でも配信した。動画や地図には、イラストが得意な田原舜さん(21)が描いたキャラクター「ゆにまる」「がんじゅー」が活躍。分かりやすさと親しみやすさを演出した。プロジェクト全体に関わった東江仁奈さん(21)は「店の対応が分かれば利用者も安心できる」と活用を期待した。
地図は手のひらサイズ8ページのパンフレットに印刷して3500部を那覇市内で配布するほか、データは豊川ゼミのフェイスブックでも公開する予定。