沖縄県内の認可外保育園の半数超が基準不適合 幼保無償化へ懸念も


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 沖縄県内の認可外保育施設335施設のうち、児童の安全確保の観点から県などが実施している指導監督基準を満たして証明書を交付された施設は3月末時点で半数以下の158施設にとどまっていることが6日までに、県子育て支援課への取材で分かった。10月から始まる幼児教育・保育の無償化では、基準に満たない認可外も経過措置として5年間は一定の範囲の費用補助がある。関係者からは保育の質の確保を懸念する声が上がっている。

 認可外への指導監督基準は、都道府県などが設けている。

 国の監督指針は「安全確保などの観点から劣悪な施設を排除するもの」としており、保育にふさわしい環境を確保しているかを確認するため、沖縄では県と中核市の那覇市などが立ち入り調査を行っている。

 基準は(1)保育従事者の数や資格(2)保育室などの構造設備や面積(3)非常災害に対する措置―など9項目。適合しない場合は県などが指導し、長期間改善がない施設には改善勧告や事業停止命令を出すことができる。証明書は一度でも全ての基準を満たせば交付される。県子育て支援課によると、昨年4月1日時点で県内の認可外は335施設で、約9千人の児童が通う。

 県認可外保育園連絡協議会の末広尚希会長によると、認可外は公的な補助がほとんどなく、運営が厳しい施設も多い。基準を満たすための修繕費などを捻出するのも難しいという。「基準を守ることができていない施設が多くある中で無償化に突入するのは不安がある」と明かし「『5年間でどうにかして』と施設の自己責任にするのではなく、自治体も施設に寄り添って基準を満たせるよう共に努力をしていくべきだ」と強調した。