「大麻は無害」ネットで広がる根拠不明情報 乱用の低年齢化を招く 「みんなやってる」ノリで手を出す子らも


社会
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 「大麻は有効」「無害」―。インターネット上には大麻をめぐる根拠不明の情報があふれている。国内では違法とされる大麻だが、海外では一部に合法化の流れもある。専門家からは、こうした背景やネットで拡散する誤情報が「大麻へのハードルを下げ、乱用の低年齢化を招いている側面がある」との指摘も上がっている。

 事件では、県警が摘発した高校生らがネットの会員制交流サイト(SNS)を大麻の取引に利用していたことが確認されている。一方、短文投稿サイト「ツイッター」などのSNSには「大麻は無害」「精神安定作用がある」といった大麻を肯定的に捉えたり、大麻使用を奨励したりするような書き込みが頻繁に行われている。

 元関東信越厚生局麻薬取締部・麻薬取締官の小林潔氏は「ネットの一部で拡散している情報が大麻へのハードルを下げ、乱用をまん延させる土壌をつくっている可能性がある」と危ぶむ。その上で、「大麻をめぐる国外の動きも大麻乱用を助長させる一因になっている」とも指摘する。

 厚生労働省などによると、昨年10月からカナダで娯楽目的の大麻使用が一部認められるようになった。米国ではカリフォルニア、オレゴンなど11州で大麻が合法化されており、欧州の一部では医療目的での使用が認められているという。

 国内外のこうした流れに歩調を合わせるように、大麻に絡む事件で摘発される人数も増加傾向にある。警察庁によると2013年に1555人だったのが、2017年には3008人と倍増し、4年連続での増加になったという。

 日本こどもみらい支援機構の武藤杜夫代表も「大麻への興味よりも『みんながやっているから』という“ノリ”で手を出している」と指摘し、大麻を使うことに対する子どもたちの心理的なハードルの低さを感じている。武藤氏は「大麻はたばこと使い方が同じ。大麻の入り口はたばこだ。たばこの段階で食い止めないといけない」と述べ、大麻への「ゲートウェイ(入り口)」となっている喫煙の防止に取り組む必要性を訴えた。