「子ども食堂」は保護者にどう影響? 「イライラ、不安を子どもにぶつける」減少、親の孤立感減少 沖縄県調査


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子ども食堂(イメージ)

 子どもの居場所は親にも良い影響をもたらす―。「子ども食堂」などの居場所を利用する児童・生徒や保護者を対象に、沖縄県が実施した2018年度のアンケートで、利用前後の変化を見ると「子を育てるために我慢している」「自分1人で育てているという圧迫感を感じる」との問いに当てはまると回答した保護者の割合がいずれも減少していた。11日、県や内閣府が結果を公表した。

 調査は18年10~11月に実施。内閣府の「沖縄子どもの貧困緊急対策事業」として県が大阪府立大に委託して行った。居場所は26市町村の134カ所で、保護者689件、子ども1342件の回答があった。市町村の支援員のサポートを受けている保護者にもアンケートを行い、343件の回答が得られた。

 居場所を利用する子の保護者を対象とした調査は初めて。利用前と現在を比べた場合、「不安やイライラなどの感情を子どもに向けたことがある」に「あてはまる」と回答した割合は、利用前と比べ18・5ポイント減の13・1%だった。「子を育てるために我慢している」に「あてはまる」と回答した割合は8・4ポイント減の11・8%、「自分1人で育てているという圧迫感を感じる」に「あてはまる」と回答した割合は9・7ポイント減少し11・8%だった。

 居場所を利用する児童・生徒にも良い変化が見られる。「自分に自信がある」「将来のためにも今頑張りたいと思う」との問いに、利用後は小中高校生全ての層で「そう思う」の割合が高くなった。支援員のサポートを受けた保護者への調査でも、心理的な負担感が減少するなどの効果が見られた。

 内閣府の緊急対策事業は16年度に開始。内閣府によると、18年度に支援員のサポートを受けたのは5783人、居場所を利用した延べ人数は29万8760人だった。

 県子ども生活福祉部の大城玲子部長は居場所を質・量ともに充実させていくとした上で「もう少し拡大したいと思っているが、どこまで広げるかはもう少し検証が必要だ」と述べた。宮腰光寛沖縄担当相は「3年間の事業の取り組みが定着し一定の成果を上げたものと考える」と述べた。