【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は11日、米軍キャンプ・シュワブ沖合の辺野古崎東側の「K8」と呼ばれる護岸を初めて使い、船で運んできた埋め立て用土砂を陸揚げした。陸揚げはこれまで使用してきた埋め立て予定地北側の「K9」護岸と合わせて2カ所目となり、工事を加速させる狙いがある。玉城デニー知事は同日、県庁で記者会見を開き「海上搬入や陸揚げ作業の強行は、暴挙以外の何ものでもない」「法令順守の意識を欠いているものと疑わざるを得ない」などと強く批判した。県はK9とK8護岸での海上搬入は当初の計画にはない係船機能だとし、工事中止を強く求める行政指導文書を沖縄防衛局に送った。
K8護岸での陸揚げ作業は午後1時ごろから始まった。接岸した台船に重機が乗り込み、護岸上を走ってきたダンプに土砂を積み込んだ。約20台が埋め立て区域とK8護岸を何度も往復し、土砂を投入した。K9護岸を使用しての陸揚げ作業も確認された。
基地建設に反対する市民らは、船から「違法工事に手を貸すな」と抗議。キャンプ・シュワブのゲート前でも抗議した。11日は計151台の大型車が工事資材などを基地内に搬入した。
K8護岸からの陸揚げを巡っては、埋め立て申請時に政府が桟橋として利用する予定はないと説明していたとして、県は目的外使用(留意事項違反)と指摘している。
本紙小型無人機で撮影したところ、県の許可なく当初の設計と異なる構造を加えている様子も確認された。埋め立て承認を受けた際に伝えていた設計を変更する場合、県の承認が必要となるが、防衛局は設計変更を申請していない。
岩屋毅防衛相は7日の会見で、政府が県に示した埋め立て申請に関する施工方法について「具体的な陸揚げ場所までは特に限定されているわけではない」として、K8護岸からの陸揚げは問題ないという認識を示していた。