頭からビニールをかぶって死んでいたウミガメ 衝撃を受けた店主は…沖縄・やんばるの共同売店で始まったマイバッグ貸し出し


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安田協同店の(左から)徳田泰二郎さん、優子さん、平秀子さん=5月23日、国頭村安田

 【国頭】国頭村安田の安田協同店は5月から、地元の人向けにマイバッグのレンタルを始めた。プラスチックごみを減らそうと4月からレジ袋を1枚10円にしたが、「ゆんたくがてら買い物ができる店」を守るため、袋の貸し出しを決めた。店主の徳田泰二郎さん(45)は「まずは地元に浸透して、この動きがやんばる全体にも広がるとうれしい」と話す。レジ袋の無料配布が禁じられる動きが出ている中、やんばるではビニールとの新たな付き合い方が生まれている。

 レジ袋を有料化したきっかけは、店主の泰二郎さんと妻の優子さん(43)が散歩中、頭からビニールをかぶった状態で死んでいるウミガメを見つけたことだ。衝撃を受けた2人は「自分たちはビニール袋を配りまくって(生き物が死ぬ)原因をつくり出している。プラスチックの扱い方を変えなければ」と有料化を決意した。

ビニールが原因で死んだとみられるウミガメ(徳田泰二郎さん、優子さん提供)

 進めるに当たって不安があった。協同店は買い物をするだけの場所ではなく、集落の憩いの場だ。「地元の人が気軽に来れなくなるかも」と懸念した。マイバッグの販売も考えたが、それではプラスチックごみを減らすための有料化という意図が伝わりづらい。

 悩んだ徳田さん夫婦にマイバッグのレンタルを提案したのは、同村比地にあるやんばる野生生物保護センターだった。同センターは「プラスチックごみとやんばるの自然は無関係ではない。地域自ら発信するという部分に共感した」と、同館グッズのバッグ30枚を協同店に提供した。

 センターから譲り受けたものを利用し始まったマイバッグのレンタル。貸し出したバッグは全て返って来ており、地元は受け入れてくれたと徳田さん夫婦は感じている。泰二郎さんは「ビニールが悪いとかではなく、どう付き合っていくかが大切。取り組みが生活スタイルを見詰め直すきっかけになれば」と話した。