理想の学歴は大学までだけど…困窮層で現実厳しく 家庭の経済状況が子どもの将来に影響


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 14日に県が公表した2回目の小中学生調査では、困窮世帯の割合など改善が見られる項目はあるものの、子育て家庭の厳しい生活実態が明らかになった。理想的な学歴として大学を挙げる子どもの割合は、困窮層よりも非困窮層で高くなっており、現実的な進路を問うと困窮層の「大学まで」の割合は理想より大きく低下。家庭の経済状況が将来に与える影響がうかがえる。

 理想的な学歴を「大学まで」とする割合の困窮層と非困窮層の差は、小5で9・7ポイント、中2で16・3ポイント。現実的な学歴についてはさらに差が大きくなり、小5で15・9ポイント、中2で20・0ポイントにまで広がる。中2の困窮層は大学までを理想とするのは約3割だが、現実的としたのは約2割だった。

 「学校に行きたくないと思った」ことが「よくあった」と回答したのは中2の困窮層が最も高く、22・9%に上った。学校や勉強で悩んでいる割合は困窮層ほど高い。報告書では「家庭の経済状況の不安定さ、親自身の余裕のなさが子の学校生活に影響を及ぼし、将来的な学業達成の差につながっていくと示唆される」としている。

 保護者からの回答では、子育てに関する助言をくれる人の有無や、情報を教えてくれる人の有無などサポートをしてくれる人がいる割合が困窮層ほど低いという結果が出た。困難な状況にあるにも関わらず周囲の支援を受ける機会が少ない状況だ。

 県内では「子ども食堂」などの居場所や、支援員の配置などが進む。調査の責任者の大阪府立大の山野則子教授は、前回調査と比べると県の取り組みの成果が見えるとしつつも、困窮世帯の割合など「実態は非常に厳しい」と指摘する。保護者の苦しい就労状況に触れ「労働問題、企業との連携をどうしていくのか。県全体としての大きな課題ではないか」と述べた。