中国EC最大手のアリババで10分で売り切れも 青汁、黒糖を中国市場に特化し展開 沖縄県産健康食品を定番化


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中国市場で人気を博している青汁関連商品と黒糖関連商品を紹介する宏信の唐宏英社長=14日、那覇市小禄の沖縄産業支援センター

 県産素材を使った健康食品などの開発、販売に取り組む宏信(那覇市、唐宏英社長)が、中国のスーパーや電子商取引(EC)最大手のアリババのネットショップなどで自社商品を定番化させることに成功している。「納豆青汁」や「黒糖入り生姜(しょうが)紅茶」など中国市場に特化した独自の商品を展開し、2018年度は青汁関連を約10万点、黒糖関連を約5万点売り上げた。中国を中心に県内企業のアジア展開を支援する事業にも取り組んでおり、同社を通じた商品の総取引量は17年度の2.5倍に達したという。

 唐社長は「中国市場には大きなチャンスがあり、沖縄のメーカーと連携して開発した商品の海外展開を広げたい」と意気込んだ。

 中国では近年、健康志向が強まっており、健康食品の需要が高いという。宏信は4年前の創業当初、既成の県産品を中国に輸出する事業展開を考えたが、商品内容と栄養の表示方法などで現地の基準を満たさない商品が多く、自社商品の開発に取り組むことにした。

 最初に開発したのは県産のゴーヤーと黒糖入り青汁だったが、2年前に納豆と黒糖を入れた「納豆青汁」を開発し、現地のテレビ番組で紹介されたことなどで人気に火が付いた。

 アリババのネットショップでは千点が10分で売り切れるなど、爆発的に売れた。生産は外注しているが、需要に追いつかない状態という。

 青汁商品は桑の粉末を入れた「桑青汁」、粉ミルクを入れた「牛乳青汁」なども開発した。黒糖商品は粉末化した黒糖に紅茶、シークヮーサー、ショウガ、抹茶、きな粉などを混ぜ合わせ湯に溶かす飲料として販売している。中国のイオンや大手スーパーのカルフールなどで定番商品として扱われるなど、高評価を得ている。ことし5月からは主にインバウンド客への販売を狙い、県内のイオンやデパートリウボウなどでの販売を開始した。

 中国で人気が出た商品を“逆輸入”的手法で取り扱うことで、県内での販売拡大を目指している。関税がかからないことなどから、中国客を中心に売れ行きは好調だという。

 唐社長は「中国の沖縄フェアなどでは『長寿の島沖縄』を掲げているが、現地の人からは『沖縄はステーキや焼き肉、ファストフードの店が多く、健康のイメージとはほど遠い』との話を聞く。県産素材を使った健康食品の展開で、健康イメージの浸透にも取り組みたい」と語った。 (外間愛也)