沖縄県名護市内の小学校で新たな平和教育の取り組みが始まっている。沖縄戦体験者が講話する従来の形式ではなく、教員が子どもたちの前で体験者にインタビューする形式で進む授業だ。限られた時間内で子どもたちに分かりやすく戦争体験を伝えることが狙い。担当教員らは「講師を務める体験者の負担減にもなる」とし、沖縄戦の実相を子どもたちにより分かりやすく伝えようと、体験者の言葉に耳を傾けている。
提案したのは名護市教育委員会で市史編さんに取り組む川満彰さん(59)。新たな授業について「非体験者が戦争体験を引き継ぐことにつながる」と強調する。名護小で昨年始まり、今年は大宮小などで導入する。沖教組国頭支部もインタビュー形式での平和授業を学ぶ研修会を5月末に開いた。
大宮小では17日、名護小では18日に平和授業を開く予定。両校小では沖縄戦当時小学6年生だった元教員の具志堅誓謹さん(86)=名護市城出身=がインタビュー形式で戦争体験を語る。4日、名護小で具志堅さんを招いた打ち合わせが行われた。
沖縄戦の体験を切々と語る具志堅さんに、担当教員たちは事前に準備した質問項目を基にインタビューした。「当時の家族の様子」「日本兵の印象」「『沖縄でも戦争が始まった』と実感した出来事は」などを尋ねた。熱心にメモを取り、授業の構成を考えていた。
名護小での授業を担当する大嶺結子教諭は「子どもたちに知ってほしいこと、伝えたいことを順番よく理解してもらえると思う」と期待した。
(塚崎昇平)