パルコシティ開業目前 渋滞に戦々恐々 対策あの手この手 


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「サンエー浦添西海岸パルコシティ」で右折車の渋滞が予想される交差点=17日、浦添市西洲

 オープニング渋滞、大丈夫? 県内最大級の複合商業施設「サンエー浦添西海岸パルコシティ」(浦添市西洲)の開業が27日に迫った。県民、関係者は県経済の活性化などに期待を抱く一方で、周辺道路の渋滞への懸念が広がっている。事業者のサンエー(宜野湾市)は、那覇市おもろまちや浦添市城間からのシャトルバスの運行や迂回(うかい)ルートの呼び掛け、さらには直営店のセールを控えるなど、あの手この手の対策を実施する。

 2015年に「イオンモール沖縄ライカム」(北中城村)が開業した際は、国道330号ライカム交差点から、南北それぞれ2キロ近い渋滞が発生した。今回はどうか。関係者は「開業してみないと分からない」と口をそろえ、期待と不安をのぞかせる。

 浦添市やサンエー、付近を管轄する警察署などでつくる「西海岸関連道路交通対策調整会議」は3月末から、関係者が情報を共有。那覇市曙地区や「なうら橋」など西海岸側の混雑を予測している。

 那覇方面からの渋滞緩和策として自家用車での来店者には、西海岸を避けて国道58号の城間交差点からのルートを勧める。テレビやラジオ、折り込み広告で呼び掛けるほか、パルコのホームページ(HP)で周辺道路と駐車場の混雑状況をリアルタイム発信する予定だ。サンエーは那覇市の明治橋から宜野湾コンベンションシティの間に25人の誘導員を配置し、国道58号の利用を促して渋滞緩和につなげたい考えだ。

影響計れず戦々恐々/「軍民共用道」望む声も

国道58号の城間交差点からの来店を勧める横断幕=浦添市西洲

 複合映画館や県内初出店のテナントが集まり、27日のオープン初日から交通渋滞が予想される「サンエー浦添西海岸パルコシティ」(浦添市西洲)。タクシー運転手らは「抜け道がない」と戦々恐々とし、周辺住民からは米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)内の「軍民共用道」設置の声も上がる。事業者のサンエー(宜野湾市)は「ほどよい集客」で渋滞緩和を目指し、一部のバス会社はパルコ経由便の運行を決めた。

 「ホームページやCM展開をあえて遅くして、静かにしている」。サンエーの関係者はそう打ち明ける。パルコ店でのセールを控え、既存店舗で協賛セールを企画。「渋滞すると分かれば来てもらえなくなる」(同関係者)として、客を分散させたい考えだ。

 サンエーは27日から、臨時シャトルバスを最大12台態勢で運行する。「おもろまち駅前」(那覇市)と「第二城間バス停」(浦添市)から、ピーク時は約10分間隔で運行する。那覇メインプレイスや浦添市のマチナトシティの屋上などを、臨時駐車場として提供する。

 公共交通はどうか。琉球バス交通は24日から、宜野湾空港線(系統番号26番)の一部をパルコ経由便に変更する。平日は1日1往復、土日祝日は1日3往復の運行となる。

 那覇方面からの臨港道路の右折帯で激しい渋滞が想定される。国道58号から城間交差点を経て港川道路を通過するルートは、4カ所の入り口から左折できるため、那覇方面からの自家用車での来店者にも国道58号の利用を呼び掛ける。

 それでも渋滞への不安は尽きない。西海岸の市西洲には約4千人が働く卸商業団地がある。県卸商業団地協同組合の照屋功専務理事は市の活性化を期待しつつ、「配送先の予定があるので、開業して混み具合が見えれば当局も解決策を考えてほしい」と要望する。

 タクシー運転手の渡慶次伸さん(55)は「那覇から宜野湾に行く客を乗せると、西海岸は抜け道がない」。市城間からバスを利用する高齢女性は「(国道58号は)今でも混んでいるのに、もっと混むのかね」と顔を曇らせた。

 パルコ裏のキャンプ・キンザーを「抜け道」に提案するのは市城間に飲食店を構える我如古辰夫さん(70)。「このままでは生活道も混雑する」と強調し、キンザーから屋富祖通りに抜ける「軍民共用横断道路」を提唱。市議ら関係者への要請を始めている。
 開業まで1週間余り。スムーズな船出に向け、関係者は「扉」が開くまで知恵を絞る。
 (大橋弘基、真崎裕史)