沖縄県交通政策課は、政府に導入を求めている沖縄鉄軌道を骨格軸とする利便性の高い公共交通ネットワークの形成に向け、沖縄都市モノレールの延伸導入による影響や課題を検討し、19日、結果を公表した。需要がより多く確保できる5ルートを検討対象としたが、いずれも不採算となるなど厳しい結果となった。
ゆいレール延伸導入の検討は鉄軌道と地域を結ぶフィーダー交通ネットワークのあり方について検討する一環で行われた。県は(1)多くの人が利用できる地域(2)自動車交通が集中する地域(3)開発計画がある地域―の三つの視点で5ルートを抽出した。
需要予測では、ゆいレール全体の利用者は1日2千~9千人程度の増加が見込まれるが、鉄軌道や路線バスなど他の公共交通機関の利用者数は減少すると予測した。公共交通利用者数は千~5千人程度(全体の0・3~2%)増加するとした。
採算性分析では、いずれのルートも収入が運行経費(人件費+経費)を下回り、事業費に関係なく採算性に課題がみられた。事業採算性を示す費用便益比は0・08~0・23と事業化の目安となる1・0を大幅に下回った。
県は今後鉄軌道と、ゆいレールなど鉄軌道から分かれる支線「フィーダー交通」とのすみ分けの検討が必要だと結論づけた。また、市町村のまちづくり計画など需要確保に向けた取り組み検討も踏まえ、幅広い検討が重要とした。
県交通政策課の寺本美幸室長は「鉄軌道と接続した具体的な路線検討については構想段階終了後、市町村や既存公共交通事業者などとの共同による検討を行っていく」としている。