2016年の米軍属による女性殺害事件を受けて政府が再発防止策として始めた「沖縄・地域安全パトロール隊」事業で、深夜巡回を受託する南日本警備保障(沖縄市)が労働基準法に抵触しているとして労働基準監督署の指導を受けていたことが20日までに分かった。今年1月に当時の従業員複数人が発注元の沖縄総合事務局に内部告発し対応を求めたが、総合事務局は2月15日の入札で4月以降も南日本警備保障へ委託することを決めた。
総合事務局が定めている入札の参加資格には「労働関係法令を順守している」ことが含まれている。委託料は1年で2億8295万5825円。
本紙の取材に対し、総合事務局は南日本警備保障に継続して業務を委託したことについて「改善が見られず送検されるなど重大・悪質な法令違反は認められず、今回の契約は有効だ。社や労基署にも問い合わせた上で判断した」と説明した。
ただ「重大・悪質な法令違反」の基準については「個々の事例に応じて検討することになる」と述べるにとどめ、明示しなかった。
元従業員らによると、南日本警備保障はそのほかにも総合事務局に提出する日報に事実と異なる記載をしていたほか、警備業法で定められた教育時間を短縮したという。
南日本警備保障は労基法が禁じている有給休暇の買い取りをしたとして指導された。南日本警備保障の島袋哲安代表は本紙の取材に対し、有給買い取りの事実を認め、労基法に関して「認知不足だった」と認めた。
一方、日報の記載については「虚偽ではなく、より細かく書けば良かったということだ。勤務自体はうそではないので(総合事務局と)互いの認識を変えようということになった」と釈明した。一方、警備業法に定められた教育時間の短縮は「絶対あり得ない」と否定した。
(明真南斗)