参院選・沖縄選挙区の情勢を探る(上)高良陣営 問われるオール沖縄


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決起大会で参加者に支持を訴える高良鉄美氏(左)と糸数慶子氏(右)=6月15日、浦添市のてだこホール

 「皆さんにご心配をお掛けしたが、私たちが分裂して喜ぶのは安倍政権だ」。高良氏に議席を受け継ぐ立場の糸数慶子氏は6月29日の女性決起集会で力を込めた。当初、出馬に意欲を示していた糸数氏は高良氏を擁立した社大党に反発し、離党届を提出した経緯がある中、確執の払拭(ふっしょく)を図った。

 「開かれた候補者選定を求める」とし、参院選沖縄選挙区候補者の見直しを求める団体も発足。糸数氏の出馬を求める声も上がったが、最終的に高良氏を支援する態勢を整えた格好だ。6月15日に浦添市内で開かれた決起大会で糸数氏は高良氏と手を携えて登壇し、支持を訴えた。糸数氏は国会が閉会するまでの間、東京と沖縄を日帰りで往復し、各地の集会に参加するなどしてきた。

 参院選が本格化する中、県政与党、国政野党の関係者らはそれぞれの支持する比例代表候補の応援に動き出す。党派や各労組が推す候補者との協力態勢を構築し、集票活動に力を入れている。北大東村を除く県内40市町村に与党県議や地元市町村議を支部長とする支部を立ち上げた。一方で、足並みの乱れが表面化する場面も見られた。

 6月29日の政策発表で、日米安全保障条約の認識について問われた高良氏は「廃止すべきだ」と答えたが、会見終了前に「将来的な話で、すぐ破棄はできない」と訂正した。同席した玉城デニー知事をはじめ、オール沖縄には日米安保体制を認め、反辺野古で一致する保守層や経済界の支援層もある。今選挙戦では、オール沖縄を構成する一部経済界が表だった支援を控えるなど、これまでの選挙と比べても態勢は盤石とは言えない。

 辺野古新基地建設を最大争点に掲げる中、相手候補の安里氏は賛否を明確にしていない。高良氏は「辺野古の問題を客観的に見るだけではよくない。(政治家の)責任を示すべきだ」と批判し、今後の論戦などを通して追及していく考えだ。県知事選や衆院3区補選で維持してきた「オール沖縄」態勢を今選挙でも構築できるかが情勢の鍵を握りそうだ。

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 4日公示、21日投開票の参院選に向け、沖縄選挙区(改選1議席)には琉球大名誉教授で無所属新人の高良鉄美氏(65)とシンバホールディングス前会長で新人の安里繁信氏(49)=自民公認、公明、維新推薦=が立候補を表明し、事実上の一騎打ちの構図となっている。両陣営は既に激しい前哨戦を繰り広げている。今選挙の情勢や各陣営の動向などを追った。 (’19参院選取材班)