上昇率が2年連続で全国一となった沖縄県内路線価は、沖縄国税事務所管内6税務署全てで最高路線価が上昇するなど全域で上昇基調が続いている。全国的には27県がまだ下落となっているなど大都市と地方の差が広がる状況があるだけに、沖縄の急騰ぶりは際立つ。地価上昇は景気の好調さを反映するとはいえ、固定資産税や相続税の支払い負担が増えることにもなるだけに、過熱する投資に警戒感も広がる。
県内で最高路線価となった那覇市久茂地3丁目の国際通りみずほ銀行那覇支店前は前年比39・2%増の1平方メートル当たり103万円と、1年で4割近くも価格が上昇した。好調な沖縄経済の中心である国際通りや国道58号沿いはホテルや店舗建設、オフィス入居需要の高まりに加え、供給される土地が少ない希少性も価格を押し上げている。
県内の最高路線価は1992年に那覇市牧志2丁目の国際通り旧沖縄三越前が同308万円のピークを付けている。価格ではバブル期の水準の3分の1と言えるが、県庁所在地の繁華街における局地的な高騰だけでなく、離島も含めた県内全域に地価上昇が広がっているのがバブル期にもなかった特徴だ。
税務署ごとの最高路線価は那覇署が7年連続、北那覇署が6年連続、沖縄署が4年連続、宮古島署と石垣署が2年連続の上昇だった。名護署は最高地点が名護市為又から恩納村前兼久に変わったが、変更前の地点を含めると2年連続の上昇となる。那覇南部地域が先行して上昇しているが、ここ数年は中北部や離島も上昇に転じている。
不動産鑑定士の濱元毅氏は「宮古、八重山は観光客の増加で山林原野だった土地がリゾート用地に変わり、住宅や商業施設の需要も高まっている。本島中北部地域も北谷町や恩納村などを中心にホテルの集積が進んでおり、観光需要が高い」と分析する。
離島の最高路線価は宮古島税務署管内で前年比4・3%増の7万2千円、石垣税務署管内で同8・0%増の13万5千円となっている。那覇市と比較すると上昇率は低いものの、郊外のリゾート用地などは路線価の調査地点に入っていない場所もあるため、上昇率に反映されていない部分もあるという。
全国的には、昨年に続き沖縄が全国で唯一「5%以上10%未満」の枠組みに分類された。上昇率5%未満が18都道府県、変動率横ばいが1県、下落率5%未満が27県だった。
濱元氏は「不動産投資の好調さは今後の見通しが明るいことの裏返しでもある。観光の好調さが続く限り、全県的な上昇傾向は続くだろう」と予測した。