沖縄国税事務所は1日、相続税や贈与税算定の基準となる2019年1月1日現在の県内路線価(1平方メートル当たり)を発表した。県内の標準宅地3158地点の評価基準額は、対前年変動率の平均値がプラス8・3%と5年連続の上昇を示し、上昇率は2年連続で全国トップとなった。土地評価額の上昇率は前年の5・0%から3・3ポイント拡大し、東京五輪を控えた東京の4・9%も上回る高騰が続いている。
県内の最高路線価は那覇市久茂地3丁目の国際通りみずほ銀行那覇支店前で、1平方メートル当たり103万円だった。前年に比べて29万円増となり、上昇率39・2%は県庁所在地の最高路線価で全国1位だった。価格としては全国16位。同地は18年連続で県内最高路線価となっている。
全国的に不動産投資が伸びる中、沖縄は全国でも有数の人口と観光客数の増加が続く地域でホテルやマンション建設といった土地取得の需要が高まっている。また、各地の区画整理事業や道路整備による利便性の向上で地価上昇は郊外にも広がり、10月に控えた沖縄都市モノレールの浦添延伸開業も沿線の評価額を押し上げる要因となった。
不動産鑑定士の濱元毅氏は「観光産業が好調な中でホテル建設やテナント利用の引き合いも多く、全体として土地価格を押し上げている。国内の金利水準が低いことも資金調達の面でプラスに働いており、地価の上昇に影響を与えている」と分析した。
沖縄都市モノレール各駅前の路線価は全15駅で上昇した。上昇率の平均値は19・2%で、開業以来最高の伸び幅となった。県庁前駅(沖縄銀行本店前・県道42号線)が同38・6%増の79万円と15駅の中で価格、上昇率ともに最大だった。