希少生物保護へ沖縄県が年度内に独自条例 密猟規制、保護区指定、外来種対策も


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餌を探しながら歩くヤンバルクイナの親子(左が若鳥)

 沖縄県は県内の希少な野生動植物を密猟や開発などから規制する「県希少野生動植物保護条例案」を2019年度内に県議会に提案する方針を固めた。沖縄には固有の希少動植物が多く、種の保存法などでは規制が及ばないものが多数あるため、独自の条例で保護を図る狙い。本島北部と西表島の世界自然遺産登録を見据えた環境整備にもつなげたい考え。同条例は2006年度から制定が模索されていたが、保護種の指定が難しいなどの理由で見送られてきた。

 棚原憲実環境部長は2日の県議会一般質問で「ぜひ本年度中にやっていきたい」と条例提案の意向を示した。次呂久成崇氏(社民・社大・結)への答弁。県自然保護課はこれに先立ち、6月28日からホームページで条例案を公開し、パブリックコメント(意見公募)を実施している。

 現在「種の保存法」などの国内法は、県内に生息する55種の希少動植物の捕獲などを規制している。一方、県の保護条例案は「沖縄の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)」に掲載された絶滅危惧種(10)類と同2類に分類された1237種のうちから、専門家の意見を踏まえて規制対象を絞り込むとしており、規制対象種は大きく拡大する見込み。県は、県自然環境保全審議会に対象種の検討を諮問する計画だ。

 県の条例案は指定する希少動植物について、捕獲、採取、殺傷、損傷を禁止し、罰則も設けるほか、生息地などに関して保護区も指定する。一方、外来種についても対策外来種リストに掲載された371種などの情報を基に対象を決め、これらの外来種を放つち、植え、まくことなどを禁止する予定。