わしたショップの展望は? 県物産公社社長・湧川盛順氏に聞く 独自の商品開発にも注力 民間のノウハウも生かす


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県物産公社 湧川盛順社長

 沖縄県産品を内外に発信する「わしたショップ」を運営する県物産公社の社長に、前沖縄観光コンベンションビューロー専務理事の湧川盛順氏が就任した。物産公社は海外販路拡大や県外の直営店増設などの事業を軌道に乗せられず業績不振が続いていたが、2016年に経営改善計画を打ち出し、直近は2期連続で黒字化するなど成果を上げている。新社長として今後の展望や課題を聞いた。

 ―抱負を聞きたい。

 「島袋芳敬前社長が経営改善に取り組み、2期連続の黒字を達成した。5年期間の経営改善計画で、中盤までの3年間で不採算取引の中止や経費節減などに取り組んだ成果が出た。残る2年は計画で掲げる『再成長フェーズ』に向け、新たな取り組みを展開していく。今後は増収も目指す必要がある。売れる商品の発掘と開発、そして営業力の強化に尽きる。そのことが物産展や卸、直営店の売り上げ増につながっていく」

 ―具体的な取り組みは。

 「多くのメーカーと取引があるが、売れ筋の商品は実はなかなか変わらない実態がある。客に喜ばれる商品を見極め、取引先から得た情報をメーカーにフィードバックし、改善すべき点は改善する必要がある。これまで注目されていなかった商品を発掘することも大切だ。ことし4月に『販売促進室』を設置しており、独自の商品開発などにも力を入れていく」

 ―これまでの行政での経験を会社経営にどう生かすか。

 「県の企画部門、商工部門、観光部門などを経験し、那覇空港ビルディングに出向した際は企業経営にも携わった。商工では企業誘致や人材育成などに関わり、観光ではインバウンド客に県産品をどう売り込むかや1人当たり消費額を高める施策に取り組んだ。公社の経営に応用できる部分はあると思う。物産の販売はプロの職員が多くいるので、ある意味では素人視点で率直な意見を伝えることも大切だと思っている」

 ―今回の役員人事で民間から非常勤の会長を入れた。意図は何か。

 「中地健氏は金秀商事の副会長として流通分野で力を発揮してきた方で、民間の視点から積極的な助言を求めたい。店舗の運営や新しい事業展開などで、公社が持っていなかった知見を得たい。金秀のやり方をそのまま取り入れるわけではないが、生かせるノウハウは多々あると思う」

 ―物産公社がさらに発展するために何が必要か。

 「物産公社は単なる民間企業ではなく、県経済に貢献する事業を展開するという使命があり、その原点を見つめ直すことだ。取引先との連携を強化し、公社の業績を伸ばして循環させていく。職員の労働環境を改善し、横のつながりを強化し、みんながモチベーションを高く持って仕事ができる体制をつくりたい」
 (聞き手・外間愛也)