【2019参院選・政策点検】①基地問題 安里氏・厳しい現実、党へ伝達 高良氏・移設断念し閉鎖・撤去


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 21日投開票の参院選は、4日に公示された。米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題など、基地問題全般への対応、雇用・経済、教育・子育て、福祉などを中心に政策論争が活発化する。立候補した有力2氏の公約や姿勢を確認し、争点を洗う。 (’19参院選取材班)

 基地問題に関する最大の争点は普天間飛行場の返還・移設問題だ。

 安里繁信氏は移設の是非について「反対の民意と埋め立て承認の法的瑕疵(かし)がないという二つの事実がある」として明確にしていない。普天間飛行場の危険性除去について今年2月に5年以内の運用停止期限が切れたことを踏まえ「民意が示した現状の厳しさを自民党の中で声を上げる。『約束履行』を政府に強く求め、一日も早い閉鎖を実現する」と訴える。

 高良鉄美氏は移設に「反対」の立場だ。MV22オスプレイの配備撤回や普天間飛行場の県内移設断念などを求める「建白書の実現」を掲げる。「辺野古を埋め立てなくても普天間基地は閉鎖・撤去できる」と訴え、新基地建設は「東アジアの緊張緩和に逆行する」と主張する。一方、5年以内の運用停止については「政府に約束を守るよう強く求めていく」とした。

 県議会が超党派で求めてきた日米地位協定の改定は両候補とも「抜本改定」が必要との認識で一致し、大幅な見直しを求めている。ただ改定の内容で力点を置く部分は異なる。

 安里氏は地位協定によって日本の主権が「侵されている」とした上で「国内法に基づき裁くことができるよう米国に理解を求める」と訴える。高良氏は自治体の基地内立ち入りの実現や起訴前の身柄引き渡しなど「米軍の特権を保障した裁判権に関わる規定を改める」とした。

 那覇軍港の浦添市への移設でも両者の立場は異なる。安里氏はこれまでの浦添市長選で市民の民意は示されているとして「民主主義に基づき浦添市案をベースに計画を推進すべきだ」としている。一方、高良氏は軍港移設への評価は示していないが、本紙の政策アンケートでは「移設に関する協議会の推移を見守る」と述べるにとどめている。