演説に独自色 安里氏、高良氏の発言分析 参院選沖縄選挙区


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎

 21日投開票の参院選に向け、沖縄選挙区では各候補者の陣営が県内各地で激しい選挙戦を展開している。事実上の一騎打ちを繰り広げている自民新人でシンバホールディングス前会長の安里繁信氏(49)=公明、維新推薦=と、「オール沖縄」勢力が支援する無所属新人で琉球大名誉教授の高良鉄美氏(65)は県内各地の街頭や集会で支持を訴えている。工夫を凝らした演説で有権者の心を捉えようと懸命な2氏の語録から候補者の主張を見る。 

 「沖縄の誇りを国政のど真ん中へ」「右と左の対立は平成で終わりに」「国と県の溝を埋めたい」。安里氏は各地の演説でこれらの言葉を繰り返している。名護市辺野古の新基地建設を巡り、国と県との関係が冷え込んでいる現状を変えるために、政権与党の自民党の中に県民の声を届けていくと強調している。
 「半世紀先の沖縄を創りたい」。2021年度で現在の沖縄振興特別措置法が期限切れとなることを見据え、新たな沖振法と振興計画を策定し、充実させることが重要だとも訴えている。
 安里氏は「究極のリアリスト」と自らを評する。自ら確かめたこと以外は信じないという性格から、沖縄の全有人島を回り、島の魅力や課題を聞いた。若者との意見交換では「人生はロマンとそろばんだ」と語り、大きな夢を描き実現するために現実的に考えて行動することが大事だと語った。

 高良氏は「命どぅ宝」というしまくとぅばをほとんどの演説で用いている。沖縄戦を経験した教訓と、35年間、研究してきた憲法の「平和主義」が何よりも重要だと力説してきた。糸数慶子氏の議席を受け継ぐ立場であるため、「平和の1議席」というキーワードもあいさつに織り交ぜる。辺野古新基地建設反対を前面に訴える中、安倍政権が目指す改憲も反対を訴える。
 「憲法の上に日米安保があるのはおかしい」。高良氏が討論会などで繰り返してきたフレーズだ。日本復帰後も繰り返されてきた米軍による事件・事故などにより憲法で保障されるべき人権がないがしろにされてきた県民の思いを表した。
 演説では「もったいない」というフレーズも使用してきた。オスプレイやF35購入などの軍事費増強に反対する立場から、増える国民負担を福祉施策の充実などに費やすことなどを求めている。