憲法改正は21日投開票の参院選の主要争点の一つだ。政府与党の自民は改憲を公約の柱に、9条への自衛隊明記など4項目の案を提示する。憲法改正に前向きな「改憲勢力」が、国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持できるかも参院選の焦点だ。改憲の是非や自衛隊の位置付け、日米安全保障を巡って、安里繁信氏=自民公認、公明、維新推薦・新=と高良鉄美氏=無所属・新=の見解の違いが鮮明となっている。
憲法改正について安里氏は憲法をパソコンのOSに例え、「時代に即してバージョンアップするのは必要」と提唱し「国民に現行憲法の問題を提起すべきだ」と主張する。憲法9条についても、自衛隊の違憲性が問われることがないよう「加憲」で補足することが現実的として「変える必要がある」とした。
高良氏は学者として35年間、憲法に携わったとして「沖縄でないがしろにされてきた人権尊重、平和主義など憲法の理念実現に向けて取り組む」として「反対」を掲げる。9条については「人類の進むべき指針」として「9条改悪に反対し、安保関連法の廃止に取り組む」とした。
自衛隊の位置付けや先島への配備を巡っての双方の意見は分かれる。安里氏は自衛隊の役割について「軍隊という位置付けよりも国民の生命財産を守るためになくてはならない存在」と主張し、先島配備にも「賛成」の立場だ。高良氏は自衛隊の位置付けについて公開討論会の場で「日本の救助隊になることが日本、海外のためにいい」と主張し、先島配備には「反対」の立場だ。
沖縄に基地が集中する根本的な原因ともなっている日米安全保障条約の評価を巡っても意見が分かれた。安里氏は「東アジア情勢に鑑み、『維持』すべきだ」と主張する。一方で、100年先を見据え、安保体制については「国民全体で考える時期にきている」とした。高良氏は「平和友好条約」に変えるべきとの立場。「憲法の上に日米安保がある現状を改める必要がある」として日米安保条約の将来的な「破棄」に踏み込む。
(’19参院選取材班)