参院選沖縄選挙区では年金制度や少子高齢化に対応する社会保障政策も重要争点となっている。県内では県立北部病院と北部地区医師会病院を統合させた「北部基幹病院」の整備の在り方、過疎地域での医師確保なども課題だ。安里繁信氏と高良鉄美氏は将来の年金制度の在り方について「給付水準を維持すべきだ」との見解では一致しているが、財源確保の手法などで違いがある。
安里氏は年金制度について、少子高齢化が進む社会状況などを念頭に「支える側と支えられる側のリバランスなどを通じて、年金をはじめ人生100年時代にふさわしい社会保障制度を構築する」とし、現行の年金制度を見直す考えを示した。高良氏は県の試算で辺野古の埋め立て費用に2・5兆円、オスプレイ1機の購入に約100億円かかることに触れ、「税金の無駄遣いを見直して財源を確保する」と主張している。
北部基幹病院の整備についても見解は異なる。安里氏が「地元市町村の負担なしによる基幹病院の実現」と地元自治体に財政負担を掛けない形での整備を公約に掲げる一方で、高良氏は「県と市町村、医師会病院で協議を続けている段階。協議を踏まえて基幹病院の実現に向けて支援していきたい」と述べるにとどめ、財政負担の在り方については言及しなかった。
本島北部地域などの過疎地域での医師不足については、安里氏が他府県の過疎地域での施策を参考にし、「医師を目指す学生の条件付き学費免除制度の導入を検討する」とした。高良氏は県の「医師確保対策補助事業」に対する国の負担分増額や、県内医学部卒業者の県立病院養成枠と北部病院の研修医受け入れ枠を拡大して医師を確保する考えを示している。
障がい者福祉への対応について安里氏は「障がい児、聴覚障がい者、視覚障がい者への多面的支援」を公約に盛り込んでいる。対する高良氏は国連の障がい者権利条約批准を目指し、国内関連法の見直しを掲げている。
(’19参院選取材班)