基地問題、全国の争点 植村秀樹氏(流通経済大教授)【2019参院選・識者評論「争点をみる」】


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植村 秀樹氏(流通経済大教授)

 沖縄の有権者は、どういう沖縄を望み、未来の姿を描くのか。それを国全体の課題と結び付けて全国に示す機会が選挙である。

 今回の参院選では年金に注目が集まっている。しかし、この国の在り方についての視点が、憲法を軸とするものから、日米安保を中心とするものへと移りつつある現在、安全保障問題は大きな争点である。

 戦後長く維持してきた平和主義的な政策から大きく離れようとしている。

 目の前の脅威や不安に対し、武力で対症療法的に対応することが果たして最適な方法なのか。特に、最近急速に進んでいる高額な米国製兵器の大量購入は、本当に必要なのだろうか。

 先日、地上イージスの導入に揺れる秋田を訪れたが、地方をないがしろにする政府の姿勢に反発が広がっている。宮古島でも同じようなことが起きたが、こうしたことは地方の問題であると同時に、全国の問題である。地域住民のみならず、国民全体の安全と密接に関わる事柄だからだ。

 普天間・辺野古にしても、周辺に暮らす住民に限られた問題ではないし、沖縄だけの問題でもない。

 自衛隊や米軍の基地や部隊の在り方について考えてみるべきだろう。

 この20年余りの間に、本土の国民の沖縄を見る目は次第に変わってきている。特に基地問題への本土の関心は、沖縄の選挙結果によって高くなったり低下したりを繰り返してきた。この選挙も沖縄の意思を示す機会となろう。

 候補者が何を訴え、有権者はそれをどう判断するのか。議員は地域の短期的利益の代弁者ではない。選挙区選出議員といえども、地方の声を反映すると同時に、全国的視野に立って発信できる人を国会に送り出すということだ。

 選挙で地元の意思を示しても、すぐに結果に結び付くとは限らない。それでも、諦めずに訴え続けていかなければならない。大きく重たいものも、いつかは動かすことができる。そう信じて投じる一票が、沖縄と日本の未来を切り開く。
 (国際政治学)

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 21日に投開票される参院選沖縄選挙区の主な争点について識者の視点を紹介する。