イメージカラーの青色に染まったスタンドは、アウトカウントが増えるたび、歓声で大きく揺れた。最後の飛球を右翼の宜野座禎晴がグラブに収めると、初の4強入りにナイン全員がガッツポーズ。ベンチの選手も両手を掲げ飛び出し、何度も抱き合った。藤井智監督は「奇跡と言われるかもしれないが、そのために練習をしてきた成果です」と選手たちを褒めちぎった。
互いに決め手を欠く中、西原は八回に追いつかれた。延長も想定していた藤井監督だったが「延長では宮古が有利」と考え、九回の攻撃を前に選手を集めた。「1点取ったら勝てる」
先頭打者の宜野座は三回の打席で一塁手と接触し、バットが持てないほどの痛みを左手首に感じていた。「一か八かでやるしかない」とバントの構えで転がして内野安打とすると、悪送球の間に二進。暴投もあって一死三塁の好機を迎えた。宮城佑汰は「これしかない」と高めに浮いたカーブをたたいてしっかりと犠飛を上げ、勝ち越す。その後は追加点を挙げた途中登板の末吉陽也が九回のマウンドも締めた。
準決勝の相手は秋季大会でコールド負けした強豪・沖縄尚学。主将の源河美利依は「自分たちがこれから先もまた歴史を作っていきたい」。雪辱を果たし、未踏の領域へと歩みを進める決意をみなぎらせた。
(屋嘉部長将)
◇宮古、相手勢いに屈す
土壇場の八回で追い付いた宮古だったが、最終回で2点を返され、西原に振り切られた。最後のアウトを取られ、両膝から崩れた宮古ナイン。豊原啓人監督は「西原の勢いに飲み込まれてしまった。悔しいけど、選手たちはよく頑張ってくれました」と目を真っ赤にしていた。
試合前から、後半勝負と決めていた。14日に力投したエース・古堅瑞樹を温存するためだ。前半は継投でしのぐと、打線は八回には追い付いた。しかし、失策や暴投からピンチを招き、勝ち越される。これまで食らい付いてきた宮古だが「初めてやばいと思った」(佐渡山大空主将)と動揺し、最後の攻撃で打線を湿らせた。
1回戦での勝利がこのチームとして初の1勝だった。佐渡山は「自分たちが果たせなかった甲子園出場に向けて、なにをすべきかしっかり考えてほしい」と次のチームに思いをつなげた。