沖尚・永山、投打躍動で美来工科に勝利 【高校野球沖縄大会準々決勝】


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美来工科―沖縄尚学 5回からマウンドに上がり5安打に抑える力投をみせた沖縄尚学の永山蒼=15日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇(田中芳撮影)

 沖縄尚学は去年まで2年連続で準々決勝で敗退している。その壁に挑む大一番で気鋭の投手が現れた。2年生の永山蒼だ。

 これまで登板は昨秋1年生大会決勝での2イニングのみ。逆転直後の五回にマウンドに立つと、最速141キロの直球と切れのあるフォークを武器に九回までを6奪三振1失点。打でも魅了し、六回の公式戦初打席では左翼スタンドにソロ本塁打。投打で躍動し「100点満点」と胸を張った。

 「先輩にお世話になってきた分、全力で抑える」と右腕がよく振れていた。登板直後から「全開だった」と140キロ超をマークする。九回に2安打を許し、1点を返されたが、仲間に「お前の球なら打たれない」と励まされ、最後も直球で押して締めくくる強心臓ぶりを発揮した。

 「背筋が強い。5月くらいから夏のキーマンだった」と評する比嘉公也監督。永山も「パワーはある」と自負する。東風平中3年時には、既に最速137キロを投げていたという。

 制球力に課題も見えたが、大一番での活躍で自信を深めた。次戦以降も「強気のピッチングで全力で抑えたい」と投げる気は満々だった。エース左腕、仲村渠春悟を軸とする投手陣に思い切った起用で厚みが加わった。準決勝へ向け、準備万端だ。

 (長嶺真輝)


美来、中盤に逆転許す

 中盤で逆転を許し、逃げ切られた美来工科。前日の八重山との3回戦で延長十回の激闘を投げ抜いた疲労でエース花城拓人が先発できなかったことが響いた。それでも粘りの継投を見せた投手陣と先制点を挙げた打線に眞玉橋元博監督は「全部出し切った。選手には『お疲れさん』としか言えない」とねぎらった。

 先発を務めたのは2年の松田明樹。公式戦初先発の相手が沖縄尚学で「あまり寝られなかった」と言うが、バックの好守もあり三回までを無失点。打線も二回に横田悠李が2死満塁から走者一掃の三塁打で援護した。しかし、継投した四回以降は守りが崩れ、力尽きた。

 野呂内晃則主将は「いい守備が継続できなかった」と悔やむが、後輩には「松田が中心になり、自分たちよりいい結果を残してほしい」と笑顔でエールを送る。それに対し松田は「先輩の分まで甲子園に行きたい」。熱い思いが受け継がれた。