10月に予定される消費税の引き上げを前に安倍政権の経済政策である「アベノミクス」の成果を巡って、毎月勤労統計の不正問題が発覚して以降、新たな議論が起きている。安里繁信氏(49)=自民公認、公明、維新推薦=と、高良鉄美氏(65)=無所属=はアベノミクスの評価について見解が分かれた。また、日本の方向性を決めるエネルギー分野でも原発再稼働の是非を巡って見解に違いが見られた。
安里氏は、中小企業の倒産件数が低水準で推移していることや家計の可処分所得が4年連続増加していることなどを踏まえ、アベノミクスを「評価する」とした。ただ「地域間格差なく、その利益が享受できているかについてはまだこれからだ」との見解を示す。
高良氏は「評価しない」立場だ。アベノミクスは日銀の金融緩和による円高・株高誘導による「一時的な景気の浮揚」とし「大企業が恩恵を独り占めし、実体経済は良くなっていない」と批判する。賃金や社会保障の底上げによる経済政策が求められるとした。
安倍政権が推進する原発再稼働についても評価は分かれた。安里氏は「まだ国民の不安を払拭(ふっしょく)できる状況には至っていない」として慎重姿勢を示す。高良氏は「原子力エネルギーに依存しない社会を目指す」として「反対」の立場だ。
尖閣諸島周辺の漁業権を巡る日台漁業取り決め(協定)についても見解は異なる。安里氏は「現状維持」の立場で「漁業区域に制限が設けられたことによって生まれた光と影。この二つの側面を十分に認識しなければならない」と指摘し、慎重な姿勢だ。高良氏は「見直し」の立場。政府が地元の反発を無視し「台湾漁船の操業を認めたことが問題だ」と批判する。その上で、県内漁業者の安全操業の実現に向け改善を求めるとした。
(おわり)