船舶衝突の可能性は「低い」 死骸で発見のジュゴン 国、沖縄県、今帰仁村が死因調査で解剖


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死因究明のために解剖されたジュゴンの死骸=17日、本部町(環境省、沖縄県、今帰仁村提供)

 【北部】環境省や沖縄県、今帰仁村は17日、同村運天漁港で今年3月に死骸で見つかった国の天然記念物ジュゴンの死因を明らかにするため、本部町の沖縄美ら島財団の施設で解剖を実施した。死因を巡っては、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地工事との関連を指摘する声がある。県の担当者らは報道陣に対し、死因につながるような傷や骨折などは見つからなかったとし「(工事の作業船などの)船舶と衝突して死んだ可能性は低い」との見方を示した。

 1週間後をめどに解剖結果を公表する予定。胃の内容物や遺伝子調査も進める。

 沖縄美ら島財団や鳥羽水族館(三重県)、京都大、国立科学博物館(東京)の獣医師6人が執刀した。死骸は雌で体長289センチ、体重483キロ。右腹や腸に傷があり、腹部から毒があるオグロオトメエイのとげ(長さ23センチ)が見つかったが、因果関係は確認できなかった。胃や腸からも死因につながる異物は見つからなかった。

 将来的な病理検査のために臓器は保存し、骨格は村が標本化する。

 ジュゴンの死骸は3月18日、運天漁港沖の防波堤に漂着しているのが発見された。頭部や胸びれに傷や出血があった。沖縄防衛局が沖縄近海で確認していた3頭のうち、同村沖を生息地とした「個体B」とされる。

 防衛局は6月、辺野古の新基地建設工事が環境に及ぼす影響を検討する「環境監視等委員会」で、ジュゴンの死に関し、工事の作業船による影響はないとの分析を報告している。