大浦湾サンゴの移植可否、裁判中は判断せず 知事が方針


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
定例記者会見で質問に答える玉城デニー知事=19日、県庁

 玉城デニー知事は19日の定例記者会見で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け沖縄防衛局が申請しているサンゴ類の移植許可について埋め立て承認撤回を巡る裁判が終わるまで許可・不許可の判断をしない方針を示した。これらのサンゴ類について県は承認を撤回していることを理由に過去に2度不許可としている。

 防衛局が申請しているのは、大浦湾に生息する小型サンゴ類約3万8760群体。玉城知事は「司法の最終判断が出るまでは処分しないと判断した」と説明した。移植許可の標準処理期間の45日を過ぎていることを指摘され、池田竹州知事公室長は「必ずしも過ぎたら駄目だというものではない」と説明した。
 県の方針について防衛省の伊藤茂樹報道官は19日の会見で「これまで県から許可を得た事例や、環境監視等委員会の指導・助言を踏まえた内容で申請した。適切に審査されるものと考えている」と話した。工事への影響については「現時点で確たることを申し上げられない」と述べるにとどめた。
 玉城知事は会見で、17日に提起した訴訟に加え、県議会6月定例会で議決を得た別の訴訟についても「準備を進めている」と語った。その提訴の際には、承認撤回を取り消した国土交通相による決定(裁決)の効力を一時的に止める仮処分の申し立ても検討しているという。玉城知事は21日投開票の参院選の結果が辺野古移設問題に与える影響について見解を問われ「結果が出ていないので答えるのは控えたい」と述べるにとどめた。