きょう4強激突 攻撃力、投手力…見どころは? 夏の甲子園県大会


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 高校野球の第101回全国選手権沖縄大会第12日は20日、沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝2試合を行う。第1試合(午前10時開始予定)は3年連続28度目の準決勝進出となる第1シード興南と、3年ぶり5度目の4強入りを果たした美里工が対戦。第2試合(午後0時半開始予定)は4年ぶりに25度目の準決勝に進出した沖縄尚学と、初の4強入りを果たした西原がぶつかる。3回戦までにシード3校が姿を消す混戦の中、4強に駒を進めた各校の戦力や見どころを紹介する。決勝は21日午後1時から沖縄セルラースタジアム那覇で行われる予定。

<見どころ>美里工―興南

 今大会最注目左腕の興南エース、宮城大弥と美里工の強力打線の対決が必見。美里工はバットの振り方や打席でのステップの踏み方など対策を進めてきており、効果を発揮できるか。それとも宮城が最速149キロの剛速球を武器に抑え込むか。美里工の主戦、吉山朝陽は球に力があるが、制球力に課題も見える。ミート力の高い興南打線相手に失投は最小限に抑えたい。初戦から共に無失策の堅守で、ロースコアの展開になりそう。

捕手として投手陣をリードし、打撃では4割6分6厘の高打率をマークする美里工の兼島大南

◆美里工 4戦47点 強力打線

〈攻撃力〉
 4試合で計47得点は4強中トップ。打線の中心となる仲村北斗と兼島大南はそれぞれ打率4割台、富島力斗は6割を超え、勝負強さも兼ね備える。競り合いの展開ではしっかりと犠打で送り、単打、長打で畳み掛け本塁を陥れる。ビッグイニングをつくれば一気に勝機をものにする打線となっている。

〈投手力・守備力〉
 右腕・吉山朝陽は2回戦で第3シード北山を被安打3、8奪三振に抑え、主戦としての力を見せた。制球力に苦しむ試合もあったが、140キロ前後の直球は切れがある。3回戦の首里東は9奪三振、七回コールド勝ちした準々決勝の読谷戦も5奪三振とバックを信じながら打者を抑えられる。準決勝以降は四死球を減らしたいところ。守備陣は失策ゼロ。二遊間、中堅手のセンターラインを中心に安定感がある。

140キロ超の力強い直球を武器に興南の固い守備をけん引する宮城大弥

◆興南 主戦宮城 直球に力

〈攻撃力〉
 シャープに振り抜く打撃が徹底され、上位から下位まで切れ目がない。1番根路銘太希、2番西里颯は打率4割を超え、出塁率が高い。クリーンアップも好調を維持し、下位にも毎試合安打の遠矢大雅や九州大会で2本塁打を放った金城啓太らが控える。全体的に長打力が増した。犠打の成功率も高い。五回までゼロに抑えられながら逆転勝ちを収めた準々決勝では、修正力の高さも発揮した。

〈投手力・守備力〉
 最速149キロの左腕、宮城大弥は準々決勝で2点を奪われたが、ギアを上げた際の力のある直球は容易には打てない。初戦から24回で316球と球数は多いが、変化球主体の投球術も身に付け、最終回まで140キロ台の直球を投げられる体力はある。2番手の又吉航瑶は低めのコントロールに定評がある。無失策の野手陣は4強の中でもトップクラスの安定感を誇る。

<見どころ>西原―沖尚

 好調なクリーンアップが勝負強い打撃で加点する沖縄尚学に対し、西原は切れ目の無い打線で得点を重ねる。両チームとも攻撃力が高いだけに、投手陣の出来が勝敗を分けそう。左右のタイプの異なる投手をそろえる沖尚は相手次第で継投もあるか。西原はエースを中心に与四球など無駄な出塁を抑えたい。4年ぶりの準決勝に燃える沖尚に対し、西原は初の4強入りを果たし勢いがある。白熱したゲームを期待したい。

切れのある直球を武器に強気の投球を見せる西原の坂井勇志

◆西原 左腕坂井の調子鍵

〈攻撃力〉
 1~9番まで全員が打率4割を超え、切れ目の無い打線が強み。夏に向けた振り込みの成果が表れ、4番宮城佑汰、5番比嘉伸を中心に長打も出る。4強の中で犠打飛14、盗塁11は最多。好調な打線に小技を絡めて相手を揺さぶりたい。一方で三振と残塁も最も多い。好投手が多い準決勝以降は好機を得ることが難しくなるため、少ないチャンスを確実にものにしたい。

〈投手力・守備力〉
 失点が4強のうち最も多い11という数字の中、エース左腕、坂井勇志の出来が勝敗を左右すると言っても過言ではない。29回で17四死球と制球力にやや課題はあるが、最速132キロの回転を利かせた直球は伸びがある。捕手の佐久川嵩一朗も強気のリードで引っ張る。失策5も最多。打力のあるチームが残っているため、ミスを減らして付け入る隙をなくしたい。

本塁打を含む6打点を挙げる活躍を見せている沖縄尚学の水谷留佳主将

◆沖尚 勝負強さ誇る打線

〈攻撃力〉
 チーム打率は4強の中で最も低いが、1イニングに集中打を集め大量点につなげる勝負強さを誇る。中でも出塁率の高い1番神里航平、4試合で6犠打を決めている2番島袋皓平、打率4割超の3番水谷留佳の上位打線は効率的に点を奪うことができる。第2シードの沖縄水産戦では、昨秋に無得点無安打を喫した沖水の國吉吹を打ち崩し、自信を深めている。

〈投手力・守備力〉
 エース左腕の仲村渠春悟は低めのコントールが良く、ここまでの16回を自責点2に抑える。春に比べて落ちる球の切れが増したことで、内野ゴロに打ち取る力が付いた。準々決勝で今大会初登板した2年の永山蒼は140キロ超の直球を武器とする右の本格派。タイプの異なる左右の投手をそろえ、厚みが増した。これまで課題だった守備はわずか失策1。緊張感の増す準決勝以降も安定感を保ちたい。