逆転のお膳立てをしたのは2年生右腕 強心臓の永山蒼「やってやる」


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沖縄尚学―興南 3回途中から2番手として登板し、9回自責点2と好投した沖縄尚学の永山蒼

 高校野球の第101階全国選手権沖縄大会最終日は21日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で決勝を行い、延長十三回に及ぶ大激戦の末、沖縄尚学が8―7で興南に競り勝った。

 4点のリードを帳消しにされた三回裏、沖縄尚学のマウンドに強心臓の2年生が上がった。準々決勝で頭角を現した右腕の永山蒼だ。打たせて取る粘りの投球で、9回に及ぶロングリリーフを自責点2でしのぎ、終盤の逆転をお膳立てした。「絶対に負けたくないという気持ちが、これまでで一番いい球につながった」。気迫の救援でチームを夏の甲子園へと押し上げた。

 試合前から比嘉監督に「相手が変化球に合ってたらいく」と伝えられていた。先発の3年仲村渠春悟が打ち込まれ、交代を告げられた時には心の準備はできていた。「先輩の気持ちも背負い、やってやる」

 初めは制球に苦しむ場面も目立ち、毎回のように安打や四球で走者をためる苦しい投球が続く。そんな中、マウンドに駆け寄ってくれた捕手の岡野真翔の一言で肩の力が抜けた。「ランナーはオレに任せて、打者に集中しろ」。七回裏、岡野は実際に死球で出した走者の二盗を防いで見せた。

 これで勢い付いた永山。切れ目の無い興南打線相手に、最速141キロの直球と切れのあるフォークを中心に六回から十一回までに浴びた安打はわずか1本だった。十二回に制球が鈍り、土壇場で追い付かれたことを反省材料に挙げ、夢の舞台である夏の甲子園へ向け「コントロールを改善していく」と、さらなる飛躍を誓う。
 (長嶺真輝)