高校野球の第101階全国選手権沖縄大会最終日は21日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で決勝を行い、延長十三回に及ぶ大激戦の末、沖縄尚学が8―7で興南に競り勝った。
5年ぶりに甲子園出場を決めた沖尚ナイン。スランプに苦しんだこともあった主将の水谷留佳は優勝旗を掲げてのダイヤモンド一周で胸を張って行進した。「苦しい時期が長かった。最後の夏に満足いく結果が出せた」と晴れがましい表情だった。
決勝では初対戦の興南の宮城から第1打席にいきなりの二塁打でチャンスメイクし、自らもホームを踏んだ。延長十三回には二死満塁のカウント0―2から宮城の直球を見極め、決勝点となる押し出し四球を冷静に選んだ。「『俺、持ってる』とは思ったけれど、打って決めたかった」と、どこか面はゆそうだった。
1年生から4番を任され、通算33本塁打と沖縄を代表する強打者の水谷。新チームで主将を任されるとスランプに陥った。秋季大会で沖縄水産にノーヒットノーランされたり、3連覇を狙う興南に注目が集まったりし、「甲子園に行くことが見えなくなった」と苦悩した日々もあった。それでも「今までにいないタイプで主将らしくない主将」(比嘉公也監督)と得がたい人柄はチームになくてはならない存在になっていた。
いつもかぶる帽子のつばには1年生の時に書いた「笑顔」の二文字。汗を拭くときなどに見て、気持ちを落ち着かせてきた。興奮さめやらぬ観客席を見て「感謝しかない」と語り、「興南の気持ちも背負って一緒になって甲子園で戦う」と相手へも心を配った気遣いのキャプテンは、笑顔でかぶとの緒を締めた。
(屋嘉部長将)