米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、那覇労働基準監督署が海上警備業務を担当するセントラル警備保障(東京都)に対して、給与未払いなど労働基準法違反があるとして是正勧告をしていたことが22日までに分かった。沖縄防衛局は同日、同社に対して勧告に従い法令順守を徹底するよう指示した。
沖縄防衛局は本紙取材に「業務が適切に履行されるよう、引き続き適切に対応していく」とした。セントラル社は本紙取材に勧告を受けたことを認め「真摯(しんし)に受け止めている」と答えた。
関係者によると、那覇労基署はセントラル社が警備船上で「休憩」としていた時間が労働時間に当たると判断した。勤務開始の2017年12月までさかのぼって該当時間の給与を支払うように指導した。改善策を1カ月以内に示すようにも求めた。勧告は19日付。那覇労基署は本紙取材に「個別事案については回答できない」とした。
元警備員の20代男性は「(労基署が)違反という正しい判断をした。会社にはきちんと対応してほしい」と述べた。男性は未払いの給与が200万円以上になると試算し「超勤手当は計算に入れていないのでさらに多額になると思う」と推測する。別の関係者は「国の仕事をやっている以上、法律は守らないといけない」と強調した。
セントラル社は辺野古に向けて土砂搬出を行っている名護市の琉球セメント安和桟橋でも海上警備を実施している。違法状態を解消しながら警備を続けるためには、大規模な人員増が必要になるとみられる。
セントラル社は辺野古での海上警備で、警備員らに日報に一律で「休憩時間」を記載させ、実態と異なる記録を作成させていたことも分かっている。過去に海上警備を担っていたマリンセキュリティーは長時間労働や残業代未払いで労基署の指導を受けている。