ダバオ、最後の墓参団 「沖縄の塔」で戦没者追悼


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 太平洋戦争中にフィリピンで亡くなった犠牲者を慰霊する第55回「ダバオ慰霊と交流の旅墓参団」(主催・県ダバオ会)の一行は28日、フィリピン・ミンダナオ島のダバオ市内にある旧日本人ミンタル墓地「沖縄の塔」の前で法要慰霊追悼式を開き、犠牲者を哀悼した。遺族の高齢化などに伴い、大規模な墓参は今回が最後となる。子や孫の世代を含めた100人余りの墓参団は、戦時中に亡くなった人々をしのび、戦争の惨禍を次世代に語り継ぐ決意を新たにした。

「沖縄の塔」の前で開かれた法要慰霊追悼式で、犠牲者を慰霊する墓参団の参加者ら=28日、フィリピン・ミンダナオ島の旧日本人ミンタル墓地(沖縄ツーリスト提供)

 一行は31日に帰沖する。大規模な墓参の募集は今回で最後となるが、県ダバオ会は来年以降も希望者を募り、墓参を続けたい考え。

 フィリピンで生まれ、戦争で父親と兄弟2人を亡くしたという県ダバオ会の安里勝さん(83)=北中城村=はこれまでに15回ほど墓参団に参加している。安里さん自身も戦時中に砲弾の破片で頭に傷を負い、1週間ほど生死の境をさまよった経験があるという。

 安里さんは戦後、家族の供養を続けてきたといい「父と兄弟らの魂は沖縄に戻っている。ただ、この地で亡くなった人々が安らかに眠ってほしいと祈った。来年以降も元気だったら有志での墓参に参加したい」と語った。

 一行は同日、多くの犠牲者が出たタモガン避難地の平和友好祈念碑やドブガン墓地、旧日本人墓地で焼香し、慰霊した。今回の墓参には謝花喜一郎副知事や県議6人も参加した。