在沖米軍展開の再調査を米両院で協議へ 再調査承認のカギは沖縄県の働きかけ


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 【与那嶺路代本紙嘱託記者】2020会計年度の国防権限法案が6、7月、米連邦議会の上下両院でそれぞれ可決された。上院案には「在沖米軍などの展開計画を再調査すべきだ」との要求が盛り込まれたが、下院案に沖縄への記述はない。今後、両院は協議して最終案をまとめるが、再調査の要求が承認されるかどうかは、沖縄からの働き掛けも影響しそうだ。

 「沖縄、グアム、ハワイ、オーストラリアなどの米軍の展開計画を再調査すべきだ」。上院の国防権限法案は「沖縄の海兵隊を削減するのは急務」とし、地元住民の支持や計画の総事業費などを調べるよう国防長官に求めている。

 ただ、項目を立てて細かく要求を並べる上院案に対し、下院案にその条文はない。

 日本と違い、米連邦議会では上下両院がそれぞれ法案を提出し、相違点があれば協議して一本化する。それに大統領が署名して成立する。

 過去にも在沖米軍を巡り、両院で内容が分かれたことがあった。

 「名護市辺野古への移設が唯一の選択肢」。2015年、米軍普天間飛行場の移設先が下院の国防権限法案に明記された。上院案にはない条文だったたため、両院で協議が始まった。

 これを受け、当時の翁長雄志知事や県出身国会議員、県議団、経済人らが訪米し、条文を撤回するよう米議会関係者らに直談判した。沖縄の訴えが届いたのか、下院は条文を撤回し、最終案から「辺野古が唯一」の文言は削除された。

 今回、上院は再調査要求というさらに踏み込んだ形で法案を作った。一本化の作業には数カ月以上かかることもある。

 沖縄側が再調査を望むなら、最終案の決定までに県ワシントン事務所を活用しながら戦略的に行動することが求められる。