【東京】28日で任期満了を迎え、3期14年にわたる参院議員としての任期を終えた糸数慶子氏(71)に国会議員としての活動を振り返ってもらい、今後の活動について聞いた。
―任期を終えての感想を聞かせてほしい。
「あっという間の3期14年だった。無事、高良鉄美氏に平和の一議席をバトンタッチでき、感無量だ」
「国政では子どもの貧困や性暴力など女性問題に取り組んだ。どちらも戦後の米統治と、今も続く過重な基地負担が絡む問題だ。政府は基地問題と沖縄振興をつなげてしまいがちだが、それでは問題の根本的な解決にならない。国会活動や全国での講演、国連でのアピールを通じ、沖縄の基地問題は日本全体の問題であり、人権の問題だと訴え、広げることができた」
「法務委員会で34回、選択的夫婦別姓を求めて質問した。世界を見ても同姓が義務なのは日本だけだが、安倍政権は否定的だ。女性活躍社会と言いながら、やっていることは真逆だ」
―国政の壁を感じる場面もあったのでは。
「政権内に戦争体験者が減り、なぜ沖縄に基地が集中しているのか考えが至らなくなっている。だが、今回の参院選で初めて主要野党が新基地建設反対で一致した。全国知事会も地位協定の改定を提起した。安全保障問題を全国で考えるという流れが広がっている。訴えてきたことがようやく動きだした」
―不出馬は本望でなかった部分もあるのではないか。
「子どもの貧困や頻発する虐待、女性の人権侵害が社会課題となる中、女性の議席が大事にされないといけない時期だ。市民や政党からも声を掛けていただいており、ある種の不本意さはあった」
「だが内部分裂して政権に有利な環境をつくるのは絶対に許せなかった。翁長雄志前知事が言ったように、小さな違いでもめていたら、いつまでも政府に立ち向かえない。憲法改悪にノーと言える憲法学者の高良氏が当選し、その力が国政に届くことも大事で、県民の大きな力になると思い、不出馬を決意した」
―かつて委員長も務めた社大党への思いは。
「県議、国会議員として活動させてもらったことは感謝している。一方、党勢拡大や、国会議員をサポートする力などで課題もあると思う。県民に求められる沖縄の地域政党としての期待も大きい。期待に応える活動をしてほしい」
―不出馬会見では政界引退を否定していたが。
「基地問題や子どもの貧困、観光振興の在り方など、沖縄には解決すべき課題がある。県民から私が必要だという声があれば、国政に限らず活動したい」
(聞き手 知念征尚)