トウモロコシやサトウキビ、イネなどの植物に被害を与える外来のガ「ツマジロクサヨトウ」の幼虫計57匹が、7月24日に沖縄県多良間村にある4カ所の飼料用トウモロコシ畑で発見された。7月11日と12日に恩納村内で確認されて以来で、県内で3件目の発生となる。
県によるとトウモロコシの収穫はほとんど終了したため、経済的な被害はない。県は6日に市町村や県内関係機関を集めた対策会議を開き、害虫の発生状況の情報共有とまん延防止対策の周知を図る。
ツマジロクサヨトウは繁殖能力が高く、2~3週間で千~2千個の卵を産む。飛行能力も高く一晩で100キロ飛べるため、中国大陸や台湾から飛んできた成虫が繁殖した可能性がある。
ツマジロクサヨトウは幼虫も成虫も柔らかい葉を好んで食べ、植物に成長被害をもたらす。国内では鹿児島県のトウモロコシ畑で被害が初確認されており、沖縄県は基幹作物のサトウキビに被害が及ぶことを警戒している。県と那覇植物防疫事務所は6月から県内のトウモロコシ畑を巡回し、聞き取り調査を実施している。7月11日に恩納村の飼料用トウモロコシ畑で初めて幼虫が確認された。
県病害虫防除技術センター予察防除班の河村太研究主幹は「どの農薬がツマジロクサヨトウに効果的かを現在、国が調査している」と話した。また「トウモロコシは畜産業に携わる人が栽培していることが多いので、あまり農薬が使えない」とし、農薬の散布に頼りすぎるのではなく、耕運機で作物を細かく砕き、土を混ぜる「すき込み」作業を進める必要があると指摘した。