那覇市が議会混乱を謝罪 区画整理訴訟巡り不要な控訴提案や議決経ずに上告 市議会が抗議決議


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議決不要な議案を提案し混乱を招いたことを謝罪する城間幹子市長(手前)=5日、那覇市議会議場

 沖縄県那覇市の真嘉比古島第一土地区画整理事業を巡る訴訟で、市が控訴した際に市議会(翁長俊英議長)の議決が不要なことに気付かず提案し、可決された問題について、城間幹子市長は5日開かれた臨時議会で「混乱を招き深くおわびする。私の監督不行き届きであり、職員に緊張感を持つよう指導する。チェック体制の見直しなど再発防止に向けて取り組む」と謝罪した。市議会は「市民と議会の信頼を損なう」として再発防止を求める抗議決議を全会一致で可決した。

 この訴訟は、市が同土地区画整理事業で違法な換地処分によって土地造成を土地所有者に求めたとして、土地を所有する男性らが処分取り消しを求めて市を提訴した。地方自治法96条は議決が必要な案件を定めているが、今回の事例は対象外だった。城間悟まちなみ共創部長は「議決が必要という思い込みに支配されていた」と謝罪した。屋比久猛義総務部長は再発防止のため「96条に係る議案は法制契約課がチェックすることも検討する」と述べた。

 控訴の議案が2018年11月に可決された時、同議案に「必要がある場合は訴えの取り下げ、和解または上告する」とあったため、市議会は上告する場合は議決を経るよう市に求める付帯決議も可決した。だが市は議決を経ずに今年7月30日に上告。市は同日の議会運営委員会で、控訴に議決が不要だったことや上告について報告した。

 5日の臨時議会で議員たちは市が議決を経ずに上告したことも批判した。7月初めの発覚から月末まで報告がなかったことにも反発し、改善を求めた。屋比久部長は「付帯決議は重いが、96条に照らすと、行政庁の判断として行われるべきで不要な議会への提出はできないという判断になった」と釈明した。

 城間市長は上告した理由について「(上告すべきか)揺れ動くものはあった。(勝訴は)厳しいということは聞いたが、裁判において(主張の正しさを)明らかにしないといけない」と強調した。