トウモロコシやサトウキビ、イネなどの植物に被害を与える害虫のガ「ツマジロクサヨトウ」が沖縄県内でも確認されたことを受け、県農林水産部は6日、農業団体や市町村の担当者らを集めた対策会議を那覇市おもろまちの那覇第2地方合同庁舎で開いた。会議には約80人が参加し、農林水産省の職員がまん延防止に向けた対策や支援策などを説明した。
沖縄では7月11日と12日に恩納村の飼料用トウモロコシ畑で幼虫が確認され、同24日には多良間村のトウモロコシ畑でも幼虫57匹が確認された。
県は基幹作物であるサトウキビに被害が広がる事態を警戒しており、県病害虫防除技術センターの金城邦夫予察防除総括は「市町村からも情報提供をお願いしたい」と、早期発見と薬剤による防除対策を呼び掛けた。
県は9月末までにスイートコーン、飼料用イネ、水稲、サトウキビ畑など県内160の農地でツマジロクサヨトウの発生調査を予定している。今後の県内での対策は農林水産省が主導で行い、発生状況も農水省が随時発表するという。
ツマジロクサヨトウは植物の葉や茎、果実を食い荒らす外来種で、繁殖能力、飛行能力が高いため世界的に生息域が急拡大している。日本では7月3日に鹿児島県内で国内初確認され、農水省が全国で一斉に調査を指示したところ、8月6日現在で福岡県を除く九州と沖縄の7県44市町村で発生が確認された。
44市町村のうち最も多かったのが鹿児島県の24市町で、宮崎県9市町、熊本県4市町、長崎県3市、沖縄県2村、佐賀県1町、大分県1市だった。
対策会議では、発生状況を把握する調査でツマジロクサヨトウの成虫や幼虫を発見した場合に、殺虫剤の散布や刈り取りなどで早期に駆除する初動対応が報告された。今後は効果的な農薬を生産者に情報提供していくとともに、薬剤の共同購入や散布作業の委託費用の一部を国が補助するといった防除作業への支援策も講じていく。
ツマジロクサヨトウは国内初発生のため、国として本年度内の防除マニュアルの策定を目標にしている。農水省の担当者は「飼料用作物は農薬の散布が少ないので注意する必要がある。可能であればなるべく農薬を散布して、できない場合は早期の刈り取りが必要だ」と強調した。