「オール沖縄」に波紋 立民の平良氏衆院4区擁立方針 「引き抜き」社大批判 実現の可能性は?


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平良識子氏

 年内解散も想定される次期衆院選を巡り、立憲民主党が社大党書記長で那覇市議の平良識子氏(40)を擁立する方針を決めたことで、県政与党の「オール沖縄」陣営内に波紋が広がっている。当事者である社大党執行部は党幹部である平良氏の立民からの擁立に難色を示す中、与党内には「4区は保守系の無所属候補を擁立すべきだ」との声も根強く、平良氏の擁立実現には課題が山積する。

 「オール沖縄」勢力にとって唯一の空白地区である衆院沖縄4区は、どの政党が候補者を擁立するかが焦点となっていたが、県内で勢力を拡大したい立民は昨年8月に県連を発足して以降、機会あるごとに与党幹部に自前の候補者を擁立したいとの考えを伝えてきた。

 国政野党第一党として一定の存在感を放つ立民だが、県内では「新参者」(県政与党幹部)との印象が強く、県内の老舗政党である社大党の要職を務める平良氏に白羽の矢を立てること自体に反発も大きい。

 社大党幹部の一人は「どう見ても引き抜き行為であり、地域政党の社大に対する越権行為だ」と批判する。

 4区から保守系候補の擁立を模索する与党幹部の一人は「『オール沖縄』は運動体として強力な面がある半面、ガラス細工の性質も持つ。立民のやり方は政党同士の不信感につながるものだ」と警戒感を表す。

 一方、立民は平良氏の擁立について「次世代の沖縄の政治を担うべき人」だと評価。糸数慶子氏の参院議員の引退で県選出の国会議員が全員男性となった中、政党に男女の候補者数を均等にするよう促す「政治分野の男女共同参画推進法」を踏まえ、女性の国政進出を進める観点からも平良氏が必要だと判断した。

 立民は平良氏が所属する社大とも政策面で親和性が強いとみている。擁立が決まれば社大とも連携して選挙に臨みたい考えだ。

 立民は当初、糸数氏の擁立を模索していたが、7月に衆参同日選がなくなったことで、県連を中心に改めて人選について協議し、年齢などを考慮して糸数氏ではなく平良氏の擁立にかじを切った。一方、平良氏を巡っては、社大党内からは来年6月の県議選で島尻郡区からの擁立を模索する動きもある。社大は近く、緊急の執行委員会を開き、立民の方針について協議する予定で、社大の今後の動きも焦点の一つとなる。
 (吉田健一)