父の支えに感謝を込めて 友利、自身初の全国16強《南部九州総体2019》


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女子個人形3回戦 切れ味の鋭いアーナンを演じる浦添の友利瑛令那

 全国高校総合体育大会「可能性は無限大 南部九州総体2019」は10日、九州各地で行われた。

 友利瑛令那(浦添)が自身初の全国16強に入った。「父の存在が1番の力になった」。3年間の集大成の演武には支えてくれた父へ感謝を込めた。

 友利は小学高学年の時から、きょうだい3人と父の智己さん(48)の4人暮らし。智己さんが早朝から弁当を作り、大会の時は職場の都合を付けて応援に来てくれた。全国大会前は午後10時に終わる道場の迎えも欠かさずしてくれた。「仕事をしながら空手のサポートをしてくれた」。智己さんが胴着に縫いつけたゼッケンを背に挑んだ総体だった。

 第2ラウンドのスーパーリンペイは太い声で叫び審判にアピールした。キメで地面を踏み込み、得意の力強さを表現し、21・50点でグループ3位で念願の16強入りを決めた。第3ラウンドのアーナンはキメの軸がぶれて納得の演武ではなく19・22点で16位に終わった。しかし「悔いはない。良くない所は課題としてこれから直していけばいい」と3年間で頼もしくなった姿があった。

 大会期間中は名護の宿舎にいるため智己さんとは、携帯電話で頻繁にやり取りした。試合後、応援席の父からすぐに「ここまで連れてきてくれてありがとう。最高のプレゼントだ」というメッセージが届いた。文字を追う目はたちまち潤み、声を詰まらせていた。

 今後は大学で競技を続け、課題の軸のぶれを克服するつもりだ。「この結果のままでいたら意味がない」と高みに挑み続ける。

 (古川峻)