【南部九州総体取材班】全国高校総合体育大会「感動は無限大 南部九州総体 2019」は11日、九州各地で行われた。沖縄県那覇市の県立武道館で行われたなぎなた競技の個人演技では、決勝で新川珠羽・上江洲誉(知念)が5―0で加藤・山田(愛媛)に完勝し、優勝した。同種目の県勢優勝は2010年の美ら島総体以来9年ぶり。
演技を終え、決勝のコートを出た新川珠羽・上江洲誉組(知念)。背後で笛が吹かれ、5本の旗が上がると会場が歓声に包まれた。振り返ると5本全てが2人に上がっており、思わず涙。瀬長睦子監督の目にも光るものがあった。地元開催の重圧もあった中での栄冠に新川は「今までで一番うれしい」、上江洲は「やってきたことは間違えていなかった」と晴れやかな表情だった。
「シンプルに基本に忠実に」を持ち味に勝ち上がった。準決勝は昨年の新人大会決勝で敗れた富川真緒・宮城昭奈(首里)との県勢対決となった。嫌な記憶も一瞬よぎったが「あの負けを徹底的に見直した」(上江洲)と4―1の勝利で成長の証を見せつけた。
緊張を解いた2人が決勝のコートに立った。最初の中段の構えで切っ先がはまらなかったが、「お互いのことしか見ていなかった」と集中は極限状態へ。進むにつれて硬くなっていく新川に「2人で演技」と瀬長監督の声が聞こえた。落ち着きを取り戻した新川の打突に呼応するように、上江洲は最後の突きを「今までで一番」と正確に決めた。
1カ月前は体調不良もあり、合わせる時間は少なかった。知念の他のペアのレベルが上がるのに焦りもあった。大会1週間前は自分にしか集中できず、互いの動きを見ておらず演技もバラバラの最悪の状態だった。それでも新しいことはせず、原点に立ち返った。
県勢としても2010年の美ら島総体で知念の先輩の米須陽香・城間さやか組以来の優勝となった。3年の上江洲は「伝統をつなげられた。珠羽には連覇も期待している」と後輩へ思いを託す。来年は連覇もかかる2年の新川は「誉先輩と一緒にやってきたことをプラスにして、次は自分が引っ張る」と頼もしい。苦悩と重圧を越えた頂点に、2人は沖縄の太陽のように輝いていた。
(屋嘉部長将)