川村、3位逃し悔し涙 渾身セーサン「沖縄の形」 南部九州総体・空手道


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男子個人形3位決定戦 渾身の気合いを吐きだす浦添の川村真太郎

 全国高校総合体育大会「感動は無限大 南部九州総体 2019」は11日、九州各地で行われた。空手競技の形は、女子の佐和田莉乃(浦添)が3位決定戦で1・08点差で上位入賞を逃した。男子の川村真太郎(同)も3位決定戦で競り負けた。佐和田と川村は5位だった。

 川村真太郎(浦添3年)は、3年前の全国大会の準決勝で敗れた笹岡(大阪)と再び合いまみえた。選んだ形は剛柔流のセーサン。剛柔流仲本塾で長年慣れ親しんできた。「沖縄の形にしたかった」と地元の誇りを背負った。

 出だしのサンチンは、ゆっくりと構えて瞬時に突く。スピードに乗り、キメで一挙に気合いを吐き出した。「重さと柔らかさを現した」と渾身(こんしん)のセーサンだった。

 しかし電光掲示板に現れた点数は笹岡を下回り、一気に涙がこみ上げてきた。伊禮光国監督も目を真っ赤にして、川村の背中をたたいた。伊良波中の頃から一目置いていた伊禮監督は「3年間よくやった」と感慨深げに話した。

 中学3年の時の全国大会3位以降は膝の痛みに苦しみ、結果を出せなかった。奈々さん(49)と病院を転々としたが、ドクターストップを宣告されただけだった。辞める選択肢はない。母の奈々さんは当時を振り返ってしばらく口をつぐみ、涙をぽろぽろとこぼした。「本人は苦しかったと思う」。ことしの春先からトレーナーの平田歩さんの支えで痛みも軽減した。7月の九州大会の1回戦敗退後、剛柔流仲本塾の仲本雄一塾長に毎日稽古をつけてもらった。

 この総体で「やってきたことは間違いじゃなかった。もっと上に行ける」と手応えを得た。「ここまで来れたのも自分だけの力ではない。周りを信じて、日本一を取る」。
 (古川峻)