主権制限の批判受け、日米指針を策定したが米特権を強化 改定しても事故機は米軍管理変わらず 沖国大ヘリ墜落15年


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墜落炎上した機体を検証する、防護服を身に着けた米軍関係者ら=2004年8月17日、宜野湾市宜野湾の沖縄国際大学

 米軍ヘリ沖国大墜落事故では米軍が現場を占拠して問題となった。米軍は大学職員や学生、関係者のみならず県警の警察官や宜野湾市消防署員を閉め出し、一般道にまで規制線を張るなど、一方的に日本側の主権を制限した。日米両政府はその批判を受け、基地外での米軍機事故に関するガイドライン(指針)を事故後策定した。しかし本来の策定目的に反し、米軍の関与にお墨付きを与えるものとなった。

 指針は事故現場に「内周規制線」と「外周規制線」を設け、内周は日米が合同で、外周は日本側が規制に当たることを定めている。事故機の残骸などを米軍が管理することも定めた。沖国大に墜落した大型輸送ヘリの別型機が2017年10月、東村高江の牧草地に不時着・炎上した事故でも米軍が現場を封鎖し、事故機周辺の土壌を持ち去った。ガイドラインは米軍の特権を強化しただけだったことが改めて露呈した。

 日米両政府は今年7月25日、日本側の警察や消防が迅速に現場に立ち入ることを明記したガイドライン改正を「成果」として発表した。だが立ち入りに日米相互の同意が必要なことや事故機を米側が管理することは従来と変わらず、根本的な改善を保証する内容ではなかった。