なぎなた沖縄 新たな歴史に 団体戦、県勢対決で首里制し連覇 南部九州総体


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団体戦決勝 鋭いスネを決める首里大将の山城り子(左)=12日、那覇市の県立武道館

 【南部九州総体取材班】全国高校総合体育大会「感動は無限大 南部九州総体 2019」は13日まで九州各地で行われ、12日に沖縄県立武道館であったなぎなた競技の団体試合決勝は、首里(城間桂、鈴木花音、大城空、宮城昭奈、山城り子)が2―1で知念(下地星南、砂川海空、山田望来、上江洲誉、兼次七実)に勝利し、2年連続3度目の栄冠に輝いた。団体試合が同一県勢の対決となるのは初めて。個人試合決勝は、首里の山城り子が1―0で出口(大阪)を破り、初優勝を飾った。県勢は、11日に演技を制した新川珠羽・上江洲誉組(知念)を含め、3種目全てで優勝を果たした。

山城が団体・個人で2冠 プレッシャーはねのけ有終の1本

 首里のエースとしてコートに立ち続けた山城り子。個人戦では一本も取られない完全勝利、団体戦決勝では優勝を決める一本を決めた。試合で県勢初の団体、個人の2冠を果たすも「全然実感が湧かないけど、この大会の存在が大きかったので肩の荷が下りた」とすっきりした表情だった。

 個人戦の決勝トーナメント初戦で勝利したことで「抱えていた不安を吹き飛ばせた」と快進撃が始まった。2回戦で選抜優勝の阿部真優(兵庫)、準決勝ではチームメイトの城間桂が敗れた北島未稀(熊本)を下し、決勝へ。県内のライバル上江洲誉(知念)、玉村純鈴(沖縄尚学)に勝利してきた出口茉歩(大阪)のメンをよけて、側メンを決めた。

 「次は団体」。肩で息をしながら少しの休憩を挟み、団体のコートで舞った。大将としてしっかりと勝負を決め続けた。日頃から競い合ってきた知念との決勝。「沖縄同士の決勝はすごいけど、勝つことしか考えていなかった」。1勝1敗で回ってきた出番。12メートル四方のコートの外に弱さはおいた。仲間がつないできた思いをコート内で感じる。知念の兼次七実がコテを打つ時にステップをわずかに変化させてスネを決めた。

 地元開催、そして連覇への期待がのしかかっていた。主将としてチームをまとめ、エースとして試合を決めに行く。自らの自信を失い「みんながエースぐらいに強かったらいいのにな」と思うこともあった。大城エリカ監督から「自信を持って挑戦することを忘れないで」との言葉に何度も救われた。さらに仲間と何度も話し合い、お互いに自信をつけて、最高のメンバーで大舞台へと挑んだ。

 先輩たちと取った昨年の全国制覇とも違う感覚も感じている。後輩たちにも「経験を自信にしてほしい」と3連覇を期待する。

 「本当に1試合1試合するたびにこのチームで良かったと思えた」と山城。県内なぎなた界に新たな歴史を作り、仲間と手にした連覇の自信を胸に、競技生活最後となる茨城国体まで走り抜ける。
 (屋嘉部長将)