沖水が10年ぶりに頂点 高校野球県新人中央大会 初回のピンチを乗り切った投球とは?


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沖縄水産―具志川商業 力投し7回まで無失点で投げた沖縄水産の古波藏悠悟=14日、宜野座村のかりゆしホテルズボールパーク宜野座(喜瀬守昭撮影)

 高校野球の第46回県新人中央大会は14日、かりゆしホテルズボールパーク宜野座で決勝を行い、沖縄水産が具志川商を9―3で下して10年ぶり8度目の優勝を飾った。沖水は序盤から主導権を握り、完勝だった。今大会で4強入りした沖水、具志川商、美里工、本部は第69回秋季大会(9月7日~10月5日)のシード権を獲得した。

 1年時から公式戦のマウンドに上がっていた左腕、古波藏悠悟が、新チームのエースとして成長した姿を見せた。制球に課題があるため、最速140キロの直球を武器に力で押す投球は封印したが「バックを信じて打たせて取るピッチングを意識した」と要所を締めた。七回を被安打4、与四球2、自責点ゼロとほぼ完璧に抑えた。

 初回、いきなりピンチを迎える。3連打を浴びて1死満塁。しかし動揺する様子はない。具志川商5番狩俣伊吹に対し、ストライクから入ると「低めに集める」という意識付け通り、コースを突き併殺に仕留めた。

 二回以降は被安打わずか1。ただ球が高めに浮き、スリーボールになる場面も多く「制球力を付け、早く追い込めるようにしたい」と課題を見詰める。秋季大会に向け「エースとしてチームを引っ張りたい」と意気込んだ。

 昨秋は優勝、今春は準優勝と好成績を残した現3年生に比べ、新チームは「(個々の)能力は半分以下だが、チームワークがいい」と評する上原忠監督。打線は長打は少ないが、好機を逃さずに12安打、9得点と堅実さを見せた。指揮官は「乾いたスポンジに水を垂らしたみたいに、すぐに吸収する」と伸びしろの大きさも強調する。

優勝した沖縄水産の選手ら=14日、宜野座村のかりゆしホテルズボールパーク宜野座(喜瀬守昭撮影)

 春、夏を通じ、1998年以来甲子園から遠ざかっている古豪、沖水。新チームとして幸先良く船出を飾った平良明瑠主将は「昨秋、先輩たちは九州大会の初戦で涙をのんだ。先輩への恩返しの意味も込め、春の甲子園を目指したい」と気合を入れた。

 (長嶺真輝)