「地元のために」島で戦う 宮古 全国初勝利へ手応え


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男子団体1回戦 宮古―関西 気迫のラリーを展開する宮古の(左から)兼島研斗、砂川朝博=16日、鹿児島市の鹿児島アリーナ(ジャン松元撮影)

 【南部九州総体取材班】全国高校総合体育大会「感動は無限大 南部九州総体 2019」は16日、鹿児島県の鹿児島アリーナで卓球の男女団体戦を行った。県勢の男女はいずれも初戦敗退だった。2年連続2回目の出場となった男子の宮古は、全国総体通算50回以上の出場を誇る伝統校の関西(岡山)に0―3で敗れ、涙をのんだ。女子の普天間も0―3で札幌大谷(北海道)に屈した。

 「地元のために」と宮古島に残り、全国での初勝利を目指す宮古高のメンバーは、全国総体通算50回以上の出場を誇る名門・関西(岡山)に挑んだ。苦境に立たされても、得点のたびに「よーし、よしっ、よしっ」と声を絶やさない。宮古の試合は最後まで熱気に包まれていた。

 結果は0―3のストレート負け。相手は素早いフットワークで先手を取り、何度も強烈なドライブを打ち込んできた。しかし宮古は果敢に立ち向かい、大崩れすることは一度もなかった。親泊怜央主将(3年)は出場機会はなかったが、仲間のプレーごとに何度も立ち上がって拍手を送り続けた。試合後は悔しさから目を赤くしながらも「全然力の差はなかった」と誇らしげだった。

 メンバーのほとんどが小学時代から宮古島南星TCでともに腕を磨いてきた。めきめきと実力を伸ばし、平良中時代は常勝チームに。これまでにないほど「良いメンバーがそろっていた」(根木貴光監督)。

 宮古島出身の有望選手は、高校進学時に県外や本島に出て行ってしまう。しかし「地元で上を目指そう」と保護者の熱烈な誘いや、宮古島卓球連盟の後押しもあり、選手たちは島に残ることを決断した。

 昨年は県総体を制し、全国総体に初出場。今年は強豪チームにも通用する確かな手応えをつかんだ。根木監督は「宮古の指導者たちが大事に育てたおかげ」と納得の表情。親泊主将は「来年は最後の1点を引き寄せるチームになってほしい」と後輩たちに言葉を送る。悲願の全国総体初勝利は目の前だ。

(喜屋武研伍)