【南部九州総体取材班】全国高校総合体育大会「感動は無限大 南部九州総体 2019」は18日、各地で競技を行った。水球の2回戦から登場した那覇西は16―9で福岡工に勝利し、8強入りを果たした。
試合前から地元開催の重圧がのしかる中、仲本虎次郎主将が「ここで活躍したらヒーローだや」と和らげようとしたが、自身も試合開始から動きが硬かった。足が動かず、すぐに息が上がる。チーム全体でボールも回らない。「アップが足りなかった」。ただ、GK森永凌和が「自分が前に出るから」と守備位置を修正し、相手のボールを奪うなど、崩れることなく想定の後半勝負へ進む。
5―4で始まった第3ピリオド。福岡工の疲労が見えたところで、守備から勝機をつくり始める。素早さを発揮した仲本の厳しいマークなどからボールを奪い速攻へ。数的有利の状況をつくり金城俊祐、大場龍希、砂邊晃匡らが左右に相手を振って好機にゴールを量産。福岡工もGKが指示を飛ばして立て直そうとするが那覇西が泳力で勝り、フローターの登川瑛もパワーを生かして得点に絡んだ。積み重なる得点と駆けつけた応援団や運営側で大会を盛り上げる卒業生らの一つ一つの応援が、選手の重圧を解かしていった。
2010年の美ら島総体は那覇商が準々決勝で四日市中央工(三重)に敗れ、4強を逃した。8強までが県勢の壁。那覇西はその準々決勝で埼玉栄とぶつかる。今年3月のかしわざき潮風カップで沖縄選抜は11―10で埼玉選抜に敗退。本大会前には遠征に来た埼玉栄と試合をした。事前情報はある。
攻撃で相手ゴール前に陣取る登川は「得点を量産し、相手の退水を誘発しないといけない」と緊張は解かない。前半は浮き球のシュートで失点を許した森永も「埼玉栄は高い位置からのクイック、サイドから逆を突くシュートを打つ。いつでも手が出せるようにしておく」と、点の取り合いに対する心構えは万端だ。
19日はより多くの応援団が予想される。初戦は攻撃面で活躍が少なかった仲本は「次は自分がチームを引っ張り、しっかり仕掛けていく」と、新しい歴史を切り開く英雄になる覚悟を見せた。
(嘉陽拓也)
(沖縄県奥武山公園プール)
▽2回戦
那覇西 16 2―2 9 福岡工
3―2 (福岡)
6―1
5―4